2022年1月30日までの記事
2022年1月30日
非粉砕ライン、生産ラインの考え方、プロセスの考え方。
結果に対して、プロセスは、一つ決まる。それは、圧力勾配と温度勾配によって支配されたプロセスが決定することである。高圧乳化分散機系の場合、圧力と流量が一義的に決まる。しかし、プロセスは、一つではない。それを満足する解は無数にあるからである。下記のスライドを見てほしい。3本ラインと4本ラインを写真で示した。写真でみればわかるように、1本ラインから、2本ライン、3本ラインと順次、上方向に簡単に足せる構造になっている。
3本ラインと4本ライン、圧力を同じ、製品出口側からでる流量をも同じにすることができる。しかし、その時、3本ラインと4本ラインとの、圧力勾配は、異なる。当然に、同じ処理物をながしても、結果が異なる。粉砕以外、100%といっていいが、4本ラインから出てくる方が結果はいい。そうならないのなら、何かが、間違っていることになる。
頭のいい会社のやり方と同じところで失敗する会社の分岐点
結果に対して、プロセスは、一つ決まる。それが、一本ラインの結果である。それを支配するのが、圧力勾配と温度勾配である。それが、決まることで、圧力と流量が、決定することになる。その結果を製品化の目標値として求めるならば、その方法論しかない。仮に、そこで得られた流量が、目的に対して、少ないのであれば、そのラインを並列化させるしか方法がない。理想は一本ラインである。結果に対して、圧力勾配、温度勾配条件をふって、目標とする流量が得られるように、条件だしをする。それでOKなら、それでいい。それで、不十分なら、条件を変えなければならない。ノズル系分散ラインなら、ノズルとモジュールとの仕様(径と長さと組み合わせ)の変更となる。つまり、圧力勾配の変更を行う。圧力が100Mpaと上限設定したなら、条件だしの方向性は、流量を絞っていくことになる。仮に、目標としている流量の半分ぐらいのものとなれば、2本ラインにすれば、目標値の流量となる。1/4ぐらいなら、4本ラインとなる。高圧ポンプ能力は、圧力と流量の積できまる。できるだけ、ポンプ容量が大きなポンプで実験した方が賢い。基本的に、推奨される高圧ポンプ容量は、100Mpa―130Mpa時、1.5L/分、前後のものが、理想的である。なぜ、その大きさなのかは、下記の理由からである。高圧ポンプの高圧シリンダーの大きさは、作業員が手で持てる大きさが上限である。何かトラブルがあった時でも、作業員で、30分以内でシール交換ができるぐらいなものでないと、作業効率が悪くなる。特殊工具や治具、または、専門家でないと、分解洗浄ができないものは、結果的に、使えない。したがって、100Mpa―130Mpa時、1.5L/分の流量ぐらいが、上限となる。仮に、15L/分、流量が欲しいのなら、そのユニットを10台、並べることになる。結果的に、その方が、費用対効果がでる。
BERYU―MINIというのは、少量で、テストする装置である。したがって、高圧領域なら流量的に、200cc/分から300cc/分が、限度である。その範囲の中で、結果が出る製品ならいいが、求める流量が1リッター/分以上なら、早い段階で、100Mpa―130Mpa時、1.5L/分ぐらいの高圧ポンプ容量のもので、条件だししたほうが賢い。
なぜなら、一本ライン時、100Mpa時、流量が400cc/分出るときの条件が、その会社の結果に対して、いいという場合もあるからである。一本ライン、100Mpa、流量400cc/分、これを満たす条件もいろいろある。しかし、BERYU MINIのポンプでやっている限り、1本ライン、100Mpa、流量400cc/分はだせない。もし、1本ライン、100Mpa、流量400cc/分の結果が、最良だとしたら、その解を、その会社は永遠に手繰り寄せることはできない。つまり、やってみなければわからない。やっていない中に正解が隠れていたら、やっていなのだから、永遠に正解にたどり着けない。つまり、最良の結果をつかめず、同じところで失敗する可能性があるということである。そこが、頭のいい会社と同じところでつまずく会社の差となる。私の人生の中で、それをやった会社は一社しかない。もう20年ほど前になる。それをやったために、その会社は、その分野で世界のトップ企業となった。いまでも、その分野ではトップである。
研究開発はあくまで投資である。投資の回収は、生産して利益がでて、初めて収束する。繰り返すが、研究開発の目的は、生産ライン、高圧分散でいえば、一本ラインでの最適値を見つけることにある。それは、結果に対して、圧力が100Mpaとするならば、流量の極大値を見つけることに他ならない。支配する因子は圧力勾配と温度勾配である。最良の結果に対して、最大の流量の値を見つけることこそが、研究開発者の力量である。
従来の手法に固執すると、最大の流量値を見つけそこなう。BERYU MINIが示されるデーターは、一つの指針でしかない。競争に打ち勝つには、100Mpa―130Mpa時1.5L/分ぐらいの高圧ポンプ容量で、最適化条件を見つけるかどうかである。それを理解できない人なら、残念だが、新しい解繊や剥離や乳化の世界には対処できない。
美粒が想定する高圧分散での高圧の上限は135Mpaである。
高圧シリンダー耐圧と強度のグラフを見てほしい。基本的に、高圧ポンプのシリンダーの材料は、SUS630相当という事になっている。許容引張応力が強いからである。グラフは、内径を25.4mmにした時の、JISの高圧ガス規格に基づいて、使用圧力に対する、最低のシリンダーの外径寸法をしめしたものである。そのカーブこそ、製造メインテナンスコストの増加率としてみていい。100Mpaぐらいまでは、直線できている。青とオレンジ
が完全に一致している。しかし、そこから、乖離する。指数的に増加することになる。アメリカの高圧配管の中圧と高圧との境が140Mpaである。もちろん、増加率はシンダーに対する負荷だけである。当然にほかの因子も加わる。圧力が高くなり、ピストンの往復運動(陽圧と減圧とのサイクル回数)が高くなれば、それだけ、リスクはさらに高くなる。
私は、高圧分散の実務の世界に、40年近くいる。嘗て、美粒は、200Mpa、300Mpaという装置を作ってきた。しかし、よほどの付加価値がないかぎり、うまくいかない。圧力勾配と温度勾配を制御すれば、従来、200Mpaかけていたものが、ほぼ、半分の圧力で同じものやそれ以上のものが取れる。いままでの経験則からみれば、圧力の上限は135Mpaと断定してもいい。逆に、それ以上かけなければ、できないものは、よほど、付加価値が高く独占できる市場をもっていなければ、費用対効果がないものである。したがって、現状、美粒は、ほぼ、100Mpa、2-3パスで、結果がでるような圧力勾配、温度勾配を選択している。そうなるようなプロセスを作り上げる。従来の発想とはまるっきり異なる。圧力をあげれば、ほぼ、微細化にはいく。それと同時に装置にも負荷がかかるから、装置自身も壊れやすくなる。圧力を150Mpa、200Mpa、250Mpaとしても、結局はうま
くいかない。莫大な投資をしても、結果的に、プラントをスクラップにするだけとなる。
人は、安易な方法へと舵を切る。回転式の撹拌機では、周速度を上げる方法、高圧分散の場合には、圧力を上げる方向である。私が市場を見ている限り、同じことの繰り返しである。分散原理が同じなら、結果は同じである。結果が同じなら、日本で作る必要はない。労働賃金の安いところで作った方がいいということになる。日本の失われた30年がここから生じたのは言うまでもない。
2022年1月23日
ノズル系ナノカーボン乳化(黒鉛ペースト)とモジュール系ナノカーボン乳化(黒鉛ペースト)の分散模様の差異
組成と前処理条件は同じである。それを二つにわけて、ひとつは、ノズル系分散につかい、ひとつはモジュール系分散に使用する。圧力、パス回数は同じにする。違うのは、ダイヤモンドノズルを使うか、単一モジュールを使うかの違いである。顕微鏡写真で見ると、すこし、異なる。出来上がった状態も微妙に異なる。導電性という尺度でみると、美粒の評価基準でみれば、同じとなる。ダイヤモンドノズルと単一モジュールの差異は、美粒システムの中で何が違うのかといえば、圧力勾配が、全然違うということになる。それが、最終用途の結果に対して、どのような差異を生むのかは、だれもわからない。だれも、そのようなことの差異を検討したことがないからである。組成もおなじ、圧力もおなじ、パス回数もおなじ、従来の分散概念からでは、到底制御できない因子が出てきたことになる。圧力勾配の差が、結果に対して、影響するのか、しないのか、誰もわからない世界、実際に、やってみて、その結果に対して、どちらの方がいいのか、それとも、同じなのか、もし、同じであれば、それによる分散模様の差も、影響しないという結論がそこで生まれる。
黒鉛ペーストもナノカーボン乳化の一つである。黒鉛の量とCNTの量の比率が、黒鉛の方が多い、その配合比率も、ある意味、任意である。下記のスライドの事例は黒鉛の比率の方が圧倒的に大きい、だから、黒鉛ペーストとなる。逆であれば、CNTペーストということになる。ナノカーボン乳化の手法目的のひとつは、黒鉛の剥離化にある。非水系溶剤(油相)を黒鉛となじませ、その油相が微細化になると同時に、黒鉛が剥離していくという手法である。CNTも同時解繊されるから、解繊されたCNTは剥離した黒鉛の界面安定化に寄与することになる。油相を添加するのとしないのでは、導電性がかなり異なる。黒鉛ペーストの場合、非水系溶剤を水よりも低沸点溶媒のものを使うから、乾燥すれば、水と非水系溶剤は揮発する。特別な基材をいれなくても、ガラスに密着する。カーボン電極として、最適のはずである。したがって、組成が同じでも、同じ、美粒システムを使用しても、出来上がったものは、違うものである。美粒システムとナノカーボン乳化の発明開発者の視点からみれば、ノズル系ナノカーボン乳化とモジュール系ナノカーボン乳化は、異質なものである。なにがどのように結果に対して違うのかは、やってみないとわからない。すくなくとも、現象としては圧力勾配が違うというのは明白である。
ナノカーボン乳化の場合、黒鉛とCNTは必須である。黒鉛の剥離とCNTの解繊である。ノズル系とモジュール系のどちらが、どのような比率で黒鉛の剥離とCNTの解繊に寄与するかは、状況によって異なる。ゼーベック効果におけるSWCNTに関しては、モジュール系の方が、あるSWCNTに関しては、有効であるとつかんでいるが、別なSWCNTに対しては、ノズル系によった方がいいということもある。したがって、数理的論理で物事が進行するとは限らない。ある意味、複雑系の極みでもある。ひとつの数理モデルが必ずしも最善とはかぎらない。もしかしたら、最悪の選択をした可能性もある。従来の粉砕―分級モデルでのナノカーボン事業の停滞のひとつが、そこにあるとみている。過ぎたるは及ばざるがごとしで、すべてを粉砕すれば、その潜在的な機能まで、粉砕、破壊していることに気づかない。よかれと思って処置したことも、結果的に、最悪の状況を作り上げることは、よくあることである。
圧力が同じでも、圧力勾配が違えば、結果は異なる。時間軸に対する圧力の変化率の変化を見ている。それが、分散状態を決定する。全体の数値化など、できない。全体の評価は、模様として、定性的にしか判断されない。個別の評価値は、それぞれの指標で判断される。ある意味、絵画の評価と同じである。圧力勾配を制御するとは、絵画の線画や色彩を選択する画家の感性と同じである。芸術的な職人の感性が、要求される分野でもある。
ナノカーボン乳化(黒鉛ペースト)の特徴としては、強い導電性と剥離化された黒鉛(グラフェン)と解繊されたCNTのネットワーク構造があげられる。それは、固化した時の空孔率として現れる。(過去の美粒HPの記事、2021年10月29日、ナノカーボン乳化手法でつくる黒鉛ペースト、空孔率80%とは、をみていただければわかる。)つまり、ガスの通り道がより多くあるということ、ガス拡散性が強いということである。そして、裏を返せば、それだけ、カーボン材の比表面積が大きい、空気とカーボンとの接触する面積が大きいということになる。この姿こそが、金属空気電池のカーボン電極の理想形なのである。ビーカーに固化して付着した黒鉛ペースト、こすらなければ、はがれない。それだけ、強度密着性が強いことを示している。仮に、何かしらのバインダーを添加しても、基本は低抵抗性(高導電性)である。一般の膨張化黒鉛と廉価な汎用コバルト系MWCNTだけで、ここまでの低抵抗なものは他ではできない。しかも、塗料として塗れる粘度である。溶剤系として使用するならば、いったん、水と非水系溶剤を揮発させ、G-NEPをつくればいい。粉体になるから、それを任意な非水系溶剤や液状樹脂にまぜればいい。美粒の低圧領域、30-40Mpa 1パスで、きれいに再分散する。
イノベーションを実現する要素に、汎用性とコスト性と量産性がある。いくらいいものでも、量産が出来なければ意味がない。量産可能であっても、コストが合わなければ意味がないし、それができても、使われる原材料が特殊で、限定的なものならこれまた意味がない。
30年後の未来は30年後にやってくる。50年後の未来は50年後にやってくる。今日、生まれた子供も50年後には、50歳になっている。人生は長いようで短い。今は、過去の結果に基づいて作られている。未来は、少し前の過去と今との間の変化率の延長線上に存在する。新しい技術が、何かの因縁でうまれてきた。その因果は未来からの要請であると感じている。未来は必然の上になりたつ。しかし、今を生きる我々にはその因果が見えない。私が生きられる時間も有限である。だから、それまで、惜しみなく情報は出すことにしている。しかし、美粒システムの機密は守られている。その奥義は誰にも伝えていないし、伝達は難しい。遣唐使として中国に渡った空海をみて、空海だから、密教僧の恵果は、真言密教の奥義を伝授した。それと同じである。美粒システムの現物を自分の手でさわって、処理物と対峙して、手をよごしながら、その違いを感受していく。そうしなければ、その本質はわからない。いずれ、私はこの世を去るときがくる。私が何をつくったか、どういう過程でそれをつくったのか、中身をみたら、わかる。現時点では、私は、死ぬまで、美粒モジュールを作り続けるつもりである。旋盤を駆使して、微妙な精度を作り出す老いた腕のいい職人と同じである。
圧力勾配を制御する。どのように制御するのか、教科書はない。新規ならば、誰でもが前人未踏の領域である。次を決めるのは、職人の感性である。音楽家なら、どのような旋律をつけるか、画家なら、どのようなアウトラインにどのような色彩をつけるかである。詩人なら、どのような言葉を選んでいくかである。それが芸術家の感性である。それが芸術的な価値を決める。分散もそれと同じである。美粒システムはあくまでもツール、それを使いこなせるかどうかは、研究開発者の感性、つまり、その人がいままでどう生きてきたか、その生きざまがその感性に反映される。いままでよくても、新しいものは、利他がないとうまくいかない。俺が、俺が、の利己では、未来の可能性は消えていく。未来は、利他の中に存在するからである。
2022年1月19日
ゼーベック効果と単層カーボンナノチューブ(SWCNT)との解繊模様の差異
定電圧一定供給装置、10V,1.1.3A, 13W相当)に、ペルチェ素子(TEC1-12706,最大電流6A、最大電圧15V、最大温度66℃)を接続し、それを熱源として使う。下記の①から➄のサンプルは、IPAとSWCNT0.2%をまぜて、美粒システム条件で処理をして、紙の上に、8回塗布したものである。分散剤はないので、純粋にSWCNTと美粒システムとの相互作用における解繊模様の差異と、ゼーベック効果(係数)との関係だけとなる。
なお、今回、使用した美粒システム、Special単一モジュール+DMRモジュールは、IPA/SWCNTの解繊の最適化を美粒の経験則から割り出して、組み合わせたものである。圧力勾配制御、冷却勾配制御を考慮したものである。費用対効果としても、十分価値のある唯一無二のシステムである。
ゼーベック効果として、現状、美粒が捕まえている範囲の中での最大値は、③および➄の処方系である。その解繊模様が、一番ゼーベック効果が高まる状態であるといっていい。その様態に近いものは、植物の葉脈の模様である。人間の血管の模様とみてもいい。太いネットワークに、支線が絡みついた状態である。
SWCNT(A)、①は、径の細いSWCNTである。しかし、それだけ、応力によわい、砕すれば、破断されやすい。一方、SWCNT(B)、②は、若干、径が太い。それだけ、応力にはつよい。SWCNT(A)に比べ、解繊力はより必要になる。ある意味、解繊しにくいといえる。しかし、粉砕しなければ、太くて、長い支柱としての機能はでる。明らかに、ゼーベック効果としては、太いネットワークがあったほうがいい、それも、カイラル半導体のSWCNTが必要である。したがって、結果、ゼーベック効果としては、②の方が上ということになる。では、③は、どんな作用が働いたかといえば、それが、①の導電性の高さが助剤として寄与しているということになる。また、⑥も、高いゼーベック係数を示しているのは、➄の導電性の高さと、もともと高いゼーベック係数をもっているからである。➄のSWCNT(C)は、導電性もゼーベック係数も優れているが、非常に取り扱いが難しい。よほどの生産技術を持っている企業でないと、➄を前処理解繊するのが、困難なはずである。
熱電変換材料としての性能指数は、熱伝導性が同じであれば、ゼーベック係数の二乗と導電性との積に相関する。したがって、圧倒的に、ゼーベック係数が、支配因子となる。しかし、導電性も影響する。したがって、タイプの異なるSWCNT、ゼーベック係数の高い方を2とすれば、導電性の高いSWCNTを1ぐらいに、混ぜて使うのが、理想的である。それが、③と➄の結果である。①は、海外製、②、➄は国産品である。
繰り返すが、なぜ、いままで、このような差異がでてこなかったかといえば、それは、まともな解繊ツールがなく、味噌も糞もいっしょに、粉砕していたからである。いいものを、粉砕したら、結局、わるいものを粉砕したものと一緒になる。本来現れる、その差異の優劣も、木っ端微塵になるということである。膨大な研究開発費を費やしたものを、一発の爆弾で木っ端微塵にするのと同じである。それと、もう一つ重要な点を付け加えると、DMRモジュールの効用である。とくに、SWCNT(A)とSWCNT(C)に関して、鉄触媒とそれに付随する不純SWCNTをDMRで捕捉しなければ、まともな解繊はできない。CNTの用途研究開発者は、粉砕と解繊の本質的な差異など分からない。ある程度、それも仕方がない。SWCNTの解繊を目的とした解繊ツールが存在していなかったし、鉄触媒やそれに付随する不純SWCNTの濃度が3-5%を越えれば、解繊部にそれらが詰まり、解繊できなかったのは事実である。DMRモジュールをもって、はじめて、解繊できる道筋ができたのである。だから、いままでは、鉄触媒とそれに付随する不純SWCNTがあれば、ぎりぎりとつぶすか、それが通過するノズルを通して、壊すしか方法論がなかった。粉砕とは、局所的な力である。当然に、SWCNTを壊すし、欠損を起こす。とくに、カイラル型SWCNTは局所的な力を受けやすい。だから、いくら研究開発しても、SWCNTのゼーベック係数など、上がらない。答えは簡単である。粉砕していたからである。高圧分散機でパス回数を増やしてSWCNTを処理していけば、ラマンで示される半導体型と金属型の比率が、だんだんと金属型に収束するとの報告を受けている。粉砕すれば、曲率をもったSWCNTが切れていくからである。曲面を微分していけば、直面になるのと同じ理屈である。
この実験で、一回もモジュール詰まりは発生していない。しかも、SWCNTは、可能な限り折れていない。再度書くが、それが、DMRモジュールの価値である。SWCNTの価値は、カイラル半導体SWCNTにあると見ている。顕微鏡写真で、ぐにゃぐにゃとひものように曲がっているものである。過ぎたるは及ばざるがごとしで、それを強くかければ、かならず、破断する。どの程度の力でどのくらいの圧力勾配がいいのかは、使用されるSWCNTと組成と用途と費用対効果に応じて可変されるべきである。どんなものでも、温度差があれば、そこに、電位差(起電力)がうまれる。これが、ゼーベック効果である。その逆がベルチェ効果である。ベルチェ効果の用途は、色々とある。今回実験の熱源として使用したのも、ベルチェ素子である。しかし、現実的には、ゼーベック効果を実感できるものは少ない。
CNTは、日本が世界に誇れる技術だった。しかし、多層カーボンナノチューブに関して、殆どが海外製に置き換わった。費用対効果からみて、廉価なコバルト系多層カーボンナノチューブの方がいいからである。唯一、日本に残ったのが、単層カーボンナノチューブである。しかし、現状、費用対効果に見合う用途がないため、高価のままである。用途が生まれ、生産量が増えれば、必ずコストは劇的に下がる。SWCNTの材料原価は、鉄とエネルギーだけである。コストの大半は、管理・維持費である。
単層カーボンナノチューブ、特にSWCNTに関して、その特性が排他的にでてくるのが、ゼーベック効果、熱電変換材料としての機能だと私は見ている。他のカーボン材とくらべても、一桁、値が違う。もちろん、CNTを解繊しただけでは意味がない。それに、現実的な様々なデバイス技術が重なって、一つのものができる。それによって、社会インフラや生活様式が変化する。
30年、50年後、今の高齢者はこの世にいないが、きっと、熱電変換が機能し、地熱発電、人間の体温で、スマホが充電できるような、熱電素子ができているはずである。100年後の未来はもっといい社会になっているはずである。地震、火山大国、日本、地熱発電ができれば、一転して、エネルギー資源国となる。熱電素子ができれば、ペロプスカイト型太陽電池用の透明導電膜電極もできているはずである。また、SWCNTの解繊技術が深まれば、当然に、アームチェアー金属型SWCNTと、ジグザグ、カイラル半導体型SWCNTとの分離がうまくいき、新たな半導体技術として、再び、黄金の国、ジパングとして、この国が蘇る可能性もある。50年後、100年後の未来がそうであることを祈る。
2022年1月13日
3Dキャドで半導体カイラル型SWCNTを描く。ゼーベック効果としてのSWCNT
グラフェンを角度15度で、ぐるりと人巻きすれば、このような形のSWCNTが生まれる。アームチェア型のような辺を底辺にして、そこに円柱棒をおく。片方を固定して、もう片方を15度傾けて、ぐるりと海苔巻き状にひと巻きしたのが、その形状である。上からと真横からの形をみれば、なるほどと思う。確かに、ひねりが入っている。どんなものでも、回転すれば、右ねじの法則が働くので、カイラル型SWCNTは、溶媒の中を動けば、らせん状のスパイラル運動をしているかのように見えるだろう。
ゼーベック効果とCNTの分散条件の差の表を見てもらいたい。ここで、述べているのはゼーベック係数(例えば、0.082mV/℃)の絶対値のありようではない。条件によって、変化するという事実を述べている。難癖をつければ、この実験方法の不確かさをあげ、その数字の真偽がおかしいという人もいるだろう。私がいいたいのは、条件、この場合には、分散条件、分散のやり方によって、固定した今回の測定方法でも、最小0.34mVから最大1.15mVの変化があったということ、そのことである。これは誤差の範囲を超えている。明らかに、ゼーベック効果が、SWCNTの分散条件によって変化しているという事実である。条件次第では、さらに、ゼーベック効果が上がることを示唆している。
今までは、従来の粉砕ー分級のツールをもとにしてSWCNTを評価してきた。そのため、SWCNTの本当の評価値はでてこなかったと思っている。その結果、熱電変換材料としてのSWCNTの研究開発も停滞している。半導体、液晶、電池等のデバイス技術をもってすれば、いい材料があれば、もちろん、時間はかかるが、熱電変換デバイスなど、容易のはずである。人間の体温で、乾電池一本ぐらいの発電ができれば、スマホの充電など不要になる。需要はあるのに、なかなか、進まない。その最大の要因が、解繊技術の未熟さと、触媒除去の困難さにあった。
人は、何か問題に直面した時に、逃げ道があれば、その方向へすすむ。その方が楽だからである。鉄触媒があって解繊できないとなれば、鉄触媒ごと、粉砕すればいいという発想になる。不純物は後で処理すればいいということになる。それで、半導体カイラル型SWCNTは、その粉砕の応力をうけて、木っ端みじんとなる。やればやるほど、悪くなる。SWCNTの特異性は、カイラル角度をもったアスペクト比のある直径の短い解繊構造、そのものにある。導電性だけをみれば、金属ナノ粒子に勝てるわけがない。透明導電膜だけをみれば、ITOに勝てるわけがない。LIB用電池の導電助剤をみれば、MWCNTで十分である。MWCNTは5000円―7000円/kgである。普通に考えれば、SWCNTを積極的に使用できる市場は乏しい。キラーアプリケーションは、粉砕ー分級のツールを使う限りは、ないのである。
しかし、視点をかえて、美粒の分散技術、鉄触媒で解繊ができないのなら、DMRモジュールを使えば、話は変わる。それが交錯したアプリケーションが、熱電交換材料である。導電体では、ゼーベック効果はないし、不導体でもゼーベック効果はない。唯一、半導体こそが、その候補となるのである。
多層カーボンナノチューブは基本的に金属型の性質をしめす。薄層化した黒鉛、グラフェンもまた、しかりで、ゼーベック係数はわるい。半導体型SWCNTが解繊された状態の1/10ぐらいの効果でしかない。熱電の性能指数は、ゼーベック係数の二乗で効いてくるので、導電性が半分でも、ゼーベック係数の方が圧倒的に強い支配因子である。また、ゼーベック効果があがるのは、半導体型SWCNTがアスペクト比を維持して、解繊された状態にある。高圧分散装置で圧力をあげれば、それだけ、折れやすく切れやすくなる。ゼーベック効果は当然に落ちる。したがって、圧力勾配と冷却勾配の可変制御は必須になる。この考えを搭載した分散ツール(装置)は、世界で、美粒システムしか存在しない。ほかの装置は、それぞれ、固有の値をもっていて、基本的に可変などできない。そこが固定されていれば、装置側では制御できない。プロダクト側で、粘性や密度等を変えて、調整するしかすべがない。その範囲内でしか、ものはできない。
私がみるかぎり、SWCNTのキラーアプリケーションこそ、熱電変換材料である。なにもドーピングする必要はないはずである。全体の2/3を半導体型でしめるSWCNT、その中でも、ジグザグ型よりも圧倒的に出現するのが、カイラル角度がことなるカイラル型SWCNTである。それをできるだけ壊さず、解繊することが、ゼーベック効果の最大値を得る方法論である。
美粒の考えは現時点ではマイナーである。1:99の孤立無援状態であるといってもいい。プロセスとプロダクトの2変数の最適化で、適正値が決まるなら、どちらかを固定してどちらか一方を可変して最適値を得るものである。現状は、プロセス側(装置)をいろいろと変えて調整する。しかし、出てくる装置はみな、同じ原理である。100種類のうち、99は同じである。粉砕ー分級のロジックの装置ばかりである。それを見聞きできる人も世間にはいない。認証バイアスをうけているからである。やっても、結果がでない。結論は同じになる。なぜなら、ツールの原理が同じだからである。一つの固定した平面座標でしか、分散をみないから、見える世界は同じになる。粉砕―分級の固定した座標系でしか、物事をみない。それでは、何も生まれないし、何も変わらない。
美粒はSWCNTの製造メーカではない。だから、詳細のことなどわからない。SWCNTなら、SWCNTに関して知りたいのは、プロセスとの相互作用で、何が変わったかである。従来できなかった圧力勾配制御をして、どんな変化がSWCNTの解繊で生じたかである。それ以外は興味がない。しかし、SWCNTのカイラル角度とグラフェンのまきかたの方法論をみて、それにそって、その形態を3Dキャドで描けば、その構造の特異性はイメージングできる。カイラル角度15度も、それ以上深くすると、わかりづらくなるから、15度にしただけである。
確かに、平面座標だけでは、物事の全体像は見えない。立体座標、言葉を変えれば神様の視点で物事をみれば、今まで見えなかったことが見えてくる。従来の分散ツール、粉砕―分級ツールは、一つの平面座標でしかない。美粒が作り上げたもの、それは、分散を立体座標として、捉えるものである。その方法論を取得すれば、新たな商品開発が生まれる。
2022年1月10日
単層カーボンナノチューブ、熱電変換材料への可能性。粉砕と解繊との差異。
単層カーボンナノチューブ、これほど、未来において、可能性のあるものはない。しかし、それをなかなか使えない。大学の偉い先生も、SWCNTの分散は難しいという。それも当たり前である。粉砕すれば、カーボンナノチューブなど意味がないとわかっている。少量を長時間かけて、超音波分散機にかけて処理する。効果をみて論文を作成する。ただ、それだけである。ネットをみても、何も新しいことはない。何もかわらない。現時点で、グラフェンにはノーベル賞があたえられても、カーボンナノチューブには与えられていない。いまだ、社会を変革する材料にはなりえていないからである。
単層カーボンナノチューブも、鉄触媒から生まれる。構造は、グラフェンをぐるりとひと巻きしたような形である。結果として、下記のような3つの形態のカーボンナノチューブが生成される。全体の1/3を占めるアームチェア型(金属型)、全体の2/3を占める半導体型のジグザグ型と半導体型のカイラル型である。それがどうしたといわれたら、その通りだが、カーボンナノチューブの摩訶不思議なところの真髄は、実は、このカイラル型のSWCNTのありようにあると思っている。
3DCADで、単層カーボンナノチューブの立体構造を描いてみるとよくわかる。アームチェア型とジグザグ型では、正六面体の形が90度ずれている。描くには、それほど、難しいことはない。最初の輪郭ができれば、それをコピーしていけばいい。3Dキャドの熟練者なら、できるだろうが、不慣れなものには、カイラル型のCNTを描くのは難しい。それは、グラフェンをカイラル角度をもって、丸めてチューブにしているからである。そのことで、ひねり、ねじれを伴うことになる。スプリングやねじと同じ感覚である。内部にはかならず、復元力のエネルギーを保持していることになる。私は専門家ではないが、多種多様なCNTを、自分が作り上げた装置をもって処理しているので、CNTがどのような相互作用をうけてどうなるのか、専門知識はなくても、容易にイメージングはできる。CNT、もっと、突っ込んでいけば、カーボン材の本丸は、SWCNTのカイラル型にある。半導体型を、壊さず、できるだけ、アスペクト比をおとさず、解繊することができれば、世界は変わると思っている。
熱電変換材料として、ゼーベック係数を調べてみた。温度差の元、どれだけ、電位(起電力)が発生したかで、その良しあしがわかる。mV/℃で、数値が高ければ高いほどいいというものである。実験結果から、費用対効果のある生産工程をベースにして、△0.08mV/△℃の性能をもつ材料が作れるということである。人間の体温が36度、外気温度が0度であれば、そこに、温度差が36度存在する。現時点で、2.88mVの電位が生まれるとして、厚みは多くて、0.1mm、500枚を直列につなげば、1.4Vの電圧が発生する。これが熱電変換である。(日本のデバイス技術があれば、熱電変換材料がきまれば、あとは試行錯誤でいいものができる。)
残念だが、現状の粉砕技法では、どんなにがんばっても、0.02mV/℃が限界である。それが実験6でしめしたものでの数値評価である。もちろん、正確な数値とは言えないが、美粒の座標軸での相対評価としては十分であるし、絶対的な評価値としても、現状、温度差を14度とみているが、最悪24度差としても、0.05mV/℃は上がることになる。
SWCNTは鉄触媒から生まれるが、解繊するには、鉄触媒が邪魔である。CNT製造メーカで、生成後、純化処理を行っている。ある程度は仕方がないが、それによって、CNTは必ずダメージを受けている。そのことにより、密度と硬さとのばらつきが、存在する。カーボンは柔らかいものである。しかし、鉄触媒を無理してCNTからケミカル処理をして除去したら、粉砕でしか微細化できない構造となる。純度をあげると、逆にCNTの硬さが強くなるからである。
基本的に、一部例外のSWCNTを除いて、SWCNTは一般的には解繊できない。鉄触媒が邪魔するからである。事前に、ケミカル処理を施し、解繊しやすくしても、そこに、欠損や傷があるため、せん断での応力がかかれば、折れやすくなる。さらにそこに、ロット差の問題がでてくる。ここに、SWCNTの最大の問題点が隠されている。純度を95%、98%にあげても、必ず、残存鉄触媒が残る。ある意味、取れ残りの残存鉄触媒であるから、その周辺のCNTも強く絡まっている。ある意味、不純物である。これが、SWCNTを解繊できない要因である。ロットが変われば、プロセスも変えなければいけない羽目になる。生産技術が成立しない。もちろん、SWCNT濃度が0.1%以下で、しかも、少量であれば、詰まる確率も少ない。もし、熱電変換材料として、使えるとしても、それでは、話にならない。
もはや、生産技術的には、負荷がかかるが、美粒が開発したDMRモジュールを使うのが効率的である。いくら、マグネットフィルターで後で鉄触媒を処理しても、粉砕後では意味がない。いずれにしても、費用対効果として使えるSWCNTは限定されている。それらを活かすためにも、DMRモジュールを利用して、組成に見合った解繊プロセスの圧力勾配を最適化しなければならない。粉砕と解繊とは、ある意味、真逆な力である。力のかかり方にも、方向性がある。構造的には縦波と横波の違いがある。最大の目的は、半導体カイラル型SWCNTを折らずに、解繊することにある。当然に、比表面積が上昇するから、粘度があがってくる。プロセスも、前段と後段では、変える必要がでてくる。
カーボンの剥離と解繊に関して、美粒は、いろいろなものを、美粒システムに通してきた。各社各様の黒鉛、各社各様の酸化グラフェン、各社各様の鉄触媒のMWCNT,各社各様のコバルト触媒のMWCNT、各社各様のSWCNT,それに、美粒が開発したそれらを組み合わせたナノカーボン乳化、それらに対して、美粒システムのプロセスも最適化させた。ナノカーボン乳化では、黒鉛系とCNTの比率も変えた。黒鉛リッチになれば、黒鉛ペーストになる。装置の組み立て、プロセスの決定、処方の選定、実験、評価、すべて、一人でやっている。実験サンプルは、すべて光学系顕微鏡でどのような変化があったのかみている。だから、その解繊した模様をみれば、ものの状態がわかる。自然と、無意識にマトリックスが作れる。処方とプロセスとが、立体構造として、視覚化される。同時に、プロセスとプロダクトの変数を可変し、最適化ができるのである。それが、職人の経験値となる。自分で手を汚さない人間には、到達できない領域である。
いろいろと、実験を重ねて、現状を俯瞰すれば、カーボンの本丸は、どこにあるのかといえば、ゼーベック効果にたどりつく。熱電変換材料としてのSWCNTである。さらに、現象をみていると、その本質はどこにあるのかといえば、半導体カイラル型SWCNTにあると気づく。ゼーベック効果は、MWCNT(金属型)や、グラフェン、酸化グラフェン等ではでてこない。SWCNTでも、粉砕したら、でてこない。ゼーベック効果の差異は、分散条件の差にことならない。詳細は書いていないが、半導体カイラル型SWCNTを、できるだけおらずに解繊しているプロセスに合致した処方条件こそ、どうやら、導電性が高くて、しかも、ゼーベック係数が高いものがでてくる。逆にいえば、粉砕に一番弱いCNTこそ、半導体カイラル型SWCNTに他ならない。だから、粉砕の考えで支配されている分散の世界で、いくら、SWCNTを処理しても、まともな解がでてこないのは、そこが要因のひとつなのである。いくら、粉砕と解繊は異質なものであると、叫んでも、世間は、理解できない。粉砕と分級はワンセットである。金属の微細化には、粉砕が適合する。液状の水と油には、活性剤と撹拌機、乳化が適応する。それらのツールの視点で、物事をみても、もはや、変化は見えない。すでに飽和しているからである。だから、新しいものがうまれない。LIB電池、太陽光パネル、半導体、液晶、MLCCも、製造ツールが同じであるし、分散の考えかたもおなじ、だから、必然的にコスト重視になる。生産性を極限まであげれば、もはや、日本に拠点を持つ意味がなくなる。当然に、平面座標で物事をみるのと、立体座標で物事をみるのでは、もの形状が違って見える。一番、分散の世界で、見えていない国が、実はアメリカなのである。だから、アメリカでは、SWCNTは、Graphene nanotube という名称でもある。グラフェンの一種だと思われているのだろう。
SWCNTは高価である。ひとえに、用途がないからである。材料原価は、鉄とエネルギーだけである。生産量がふえれば、当然に、コストは下がる。SWCNTの特徴は何か、他と違う要素は何かといえば、それが、カイラル構造にある。ひねりの角度が存在するため、直径の誤差の変位とともに、そのひねり角度もまた変わってくる。それが、SWCNTの不思議さにつながる。まさしく、ひものような動きなのである。それは粒子の運動ではなく、ひものような波動の運動を示している。顕微鏡でみると、ひもが揺らいでいる状態が見える。当然に、粉砕していけば、粒子となって、普通のカーボン材と変わらなくなる。ゼーベック係数が高いSWCNT分散材を顕微鏡でみれば、ひものような曲率をもったものが、たくさん識別できる。この模様ぐあいと、結果の値をみれば、誰でもが私と同じロジックにたどりつく。
日本は火山大国である。ある意味、地熱というエネルギーをもったエネルギー資源国なのである。ただ、それを活かせる技術が未熟なだけである。太陽光発電は、光が遮断されたらおしまい、風力発電も、風がなければ意味がない。常に一定の熱源を放出しているのが、地下のマグマ、地熱である。あとは、デバイス技術でだけである。ある意味、今が、エネルギー変革の夜明け前である。夜が明けるころには、高齢者は、この世にいないだろうが、若者や、これから生まれてくるだろう人には希望の光となるはずである。
2022年1月5日
熱電変換材料、ゼーベック係数を支配する要素を発見。
どんな物質でも、両端差に温度差(△T)を与えると、その両端の間に電位差(起電力)が生まれる。その効果を、ゼーベック効果と呼んでいる。ミクロの世界では、起きるだろうが、マクロの世界では、なかなか、起きない。ちなみに、厚紙を長方形にきって、その端を加熱したら、その両端に電位差がうまれるかといえば、生まれない。紙は絶縁体だからである。では、その紙にアルミテーブをまいて、その上で同じ実験をしても、電位差など生まれない。電気は通るが、熱が逃げてしまうからである。熱が逃げてしまえれば、両端に温度差が生まれないからである。
両端に温度差がうまれ、しかも、その間に電気が通るものでないと、熱電変換材料としては使えない。通常のカーボン材、黒鉛、それを剥離したグラフェン、新規材料のCNTは、それなりの導電性を示すが、同時に、熱伝導性もいいものである。下記のスライドの図、導電性と電圧(発電)との関係のグラフを見ていただいたら、理解するはずである。美粒は、ナノカーボン乳化や美粒剥離・解繊技術と美粒システムとの相関を調べるために、100検体以上のサンプル実験を行い、すべての分散液を、厚紙に塗布して、その抵抗値を調べた。測定器の内部抵抗と、濃度の差があるので、抵抗値と距離との関係をプロットし、その勾配を抵抗値としてみた。その逆数を導電率としてとらえた。単位は(1/△Ω/△cm)となる。ステンレスの塊を加熱(140℃前後)して、それを熱源とした。その熱源が(負極)となり、熱源の下にあるカーボンシートから数センチ離れた所を正極とした。その間の電位を測定した。単位はmVである。
グラフをみていただいたらいい。左下の塊が、MWCNTや薄層化黒鉛や酸化グラフェンを主体としたカーボン材である。約3mVを上限とした対数的なグラフ相関が見える。導電率が高いのは、より解繊されたSWCNTをベースにしたものである。導電性がよくなれば、熱伝導性もよくなる。美粒の条件では、3mVで頭打ちになる。しかし、それと、異質な塊が存在する。電圧が5mV以上発生するところが確かに存在する。左上の領域である。
美粒の条件で、導電率が5を超えると、発生電圧が急激におちる。この垂直条件を支配するファクターこそが、ゼーベック係数を左右する要素となる。すべての検体の属性がわかっているから、何が効いているかは、わかる。ある限られたCNTとある限られた分散剤と美粒のプロセス条件があったところに、それらは存在した。同一条件で実験をするために、76検体、同一の日に熱源を載せて、電圧を測った。1から76までの電圧を実験表の中に打ち込んだ。驚くべきことに、ある共通項が存在した。
美粒は、分散液として、シート化になるかどうかもチェックしたことがある。シート化になったものもある。それらを同じように、実験をして電圧を測定した。実験番号が同じものは、ほとんど、紙にぬったものとほぼ同一の電圧が得られた。同一の分散液なら、厚みで抵抗値は変化する。しかし、ゼーベック係数は変わらない。だから、温度差が同じなら、同一の電位がたつ。
定性的な表現を使えば、ゼーベックス係数を支配する要素は3つに集約される。ひとつは、CNTである。ひとつは、分散剤要素である。最後は、分散解繊状況である。まさしく、プロセス条件とプロダクト条件が合致したところに、ゼーベックス係数の最大値は存在する。量産や実用化、費用対効果をみれば、美粒でのデータからみれば、導電率5( △0.2Ω/△cm)前後で、美粒の温度差条件で、電圧が6.5mV発生するところが、最良の熱電変換材料だと考える。この塗料だけなら、原料がそろえば、プロセス条件はわかっているから、品質管理の問題は残るが、容易に製造はできる。ちなみに、この導電率5というのは、相当な導電性である。後は、デバイス技術であるが、スペースシャトルや原子力発電やリニアモーターカーを作る技術からみれば、たいしたことはないはずである。
LIB用の正極材料としてCNTの用途が期待されているが、なかなか進展しない。電池は化学反応が伴うから、導電助剤だけのピースをよくしても、全体がまとまらない。電池はコスト重視であるから、どこまで、費用対効果がでるかが、最大の問題点である。実用化まで時間がかかる。まして、固体電池となれば、尚更、複雑である。太陽光の電極としての透明導電膜電極も、導電性と光の透過性とのギャップがあるから、なかなかうまくいかない。よほど、画期的な導電性ポリマーやそのドーピンング技術が向上しないと、実用化まで時間がかかる。
もう一度、下記の導電性と電圧との関係のグラフをみてほしい。再度、繰り返すが、導電性が一定で、電圧が高くなる条件を満たす分散液を新しい分散技術で作り上げることができるという事である。材料は新規なものではない。市場にでている材料を組み合しているだけである。従来と違うのは、プロセス条件、解繊分散するツールが違うだけである。そうでなければ、美粒が、このような関係式を作り上げることなどできない。なぜ、それが独占的にできたのか、このシステムを作ったのが、美粒だからである。プロセス条件を、任意に変えられるのは、現状、その細部をコーチングしていない以上、私だけだからである。
太陽光発電は、天候に依存する。風力発電もまたしかりである。温度差を利用した熱電の熱源は、無尽蔵に存在している。どんなものでも、運動すれば、熱エネルギーとして拡散される。エンジン、モーター、運動すれば、熱が発生する。これも、ひとつの排熱である。外気との温度差で、電気が生まれる。火山活動、温泉地、冬になれば、寒気が下りてくる。その温度差は、相当なものである。温度差があればあるほど、電圧、起電力は増加する。そして、乾電池と同じように、熱電変換材料を直列につなげれば、電圧は倍数的に増加する。将来、車やバス、電車をも動かすことができる。
未来は、誰のためにあるのか。若者や、これから生まれてくる人のためにある。今、この文明で生きれて、一度の人生を歩めることができるのも、先人たちが作り上げたもののおかげである。導電性と電圧との関係で示した、垂直条件のはしごの先に、地熱発電の可能性があるはずである。30年、50年後、私はとうにいなくなっているだろうが、それらは、必要な技術になっていると確信している。これらを作り上げたのも、未来からの要請だと感じている。
2021年12月20日
(雑感)美粒モジュールの小宇宙、人生の終着点、星の瞬きと同化する。
2021年12月19日の秋山なおの美粒ブログに収録。この哲学や思想に基づいて、一連の美粒モジュールは作られている。人生も、雨中も、美粒モジュール内での小宇宙の在り方も、基本的に同じである。
生き急ぐこともなく、死に急ぐこともなく、自然の流れの中で、自分の人生を生きたらいい。思春期から、内部エネルギーは増えていく。その頂点となるのが、23歳ぐらいだろう。それから、50歳ぐらいまで、アップダウンをしながら、減衰していく。また、人それぞれの命の在り方によっても、最終地点が変わってくる。60歳でアウトもいれば、70歳、80歳、90歳まで、生き延びる人もいる。
どんなものにも、変化はある。時間軸の中で、いろいろなストレスを受けながら生きている。そのストレスの強弱は波の振幅のようにアップダウンを繰り返している。たぶん、人生は三角関数と指数関数の合成したもの、アップダウンを繰り返しながら減衰していくもの、それが、人生の関数(f)であり、その時の変化率は、(偏微分の)∂f/∂tであらわされるはずである。当然、その時の数値が、その変化率をこえれば、それが、人生の乱れとなるはずである。乱れたらどうなるか、破壊される。津波、地震、嵐、竜巻、自然界の乱れの中に、たたずめば、物は粉砕され、破壊される。それは、人生だけでなく、物を微細化するときも、同じことが起きる。たぶん、この宇宙が壊れないのは、その変化率を超えない変化率でこの宇宙がこの時空間を今、膨張させているからである。この時空間の中で今を生きている人には、その変化率はわからない。その変化率を支配しているものがあるならば、それが神ということになる。この宇宙の主旋律を奏でているのが、神ということになる。この今という一瞬における自分自身の変化率、それはこの宇宙との相互作用でもある。それが自分自身の運命をも左右している。神に近い人は、己の自我を緩め、この宇宙の主旋律に、心を共鳴させようとしている。宇宙の主旋律の周波数と調和すれば、心にこの宇宙の主旋律の揺らぎが現れる。ラジオから、音楽が流れる原理と同じである。
人生は揺らぎながら減衰していく。飛び立っていく飛行機のテールランプが、夜空に消えていくのと、同じである。昔、FM局で、流れていたジェットストリームのエンデングと同じである。城達也さんが、語った言葉どおり、「夜間飛行の、ジェット機の翼に点滅するランプは、遠ざかるにつれ、次第に星のまたたきと区別がつかなくなります。」それが、命の終焉でもある。どのように、それが、減衰していくのか、どのような勾配をもつのか、だれもわからない。ジェット機の翼に点滅するランプが、どのように遠ざかるかによって、その区別ぐあいも変わるからである。
美しい浜辺、打ち寄せる波、揺らぐ潮騒、しかし、津波がくれば、形相は一遍する。新緑の間を流れるそよ風、しかし、竜巻がくれば、形相は一遍する。乱れである。単位時間と単位面積にあたりに流れるエネルギー量がある限界を超えたのである。破壊である。ゴムを引っ張る、弾力性がある。引っ張るのをやめれば、もとに戻る。もっと、ひっぱる、ゴムが伸びてくる。力を緩めても、もとにはもどらない。さらに、引っ張る。ゴムはどうなるか、パチンと切れてしまう。破断である。それが、破壊である。
どのくらいの力で、もとに戻る、もとに戻らないか、その境目も、時間軸に対して、変化し減衰していく。同じストレスを与えても、若い人なら、耐える。しかし、老人では耐えられない。同じ原理である。老化する速度、風化していく速度、それが、年々、加速していく。つまり、それに耐える力は、年々減衰していくことになる。
どんなに、抗っても、どこかで終わりはくる。それは仕方がないことである。起きてしまったことは、どうにもならない。覆水盆に返らず、である。何事も、一喜一憂しないことである。私は、若い時、海でおぼれかけたことがある。このまま、もがいて、慌てたら、死ぬと直観した。たぶん、一瞬の選択だったろう、息をとめ、バタ足で、浅瀬の方へ泳いだ。足がたつところだと思い、そこで足をついた。確かに足がついた。私はおぼれずに済んだ。
一病息災というのがある。何か、病気をもって、定期的に医者に掛かっていたほうが、長生きするということである。地震の予知と同じである。変化の兆候を手遅れになる前につかむことである。がんも早期なら、治る。しかし、そのまま放置していたら、もとに戻らないところまで進行してしまう。心筋梗塞、脳梗塞も同じである。かならず、ものが動くには、その変調が起きている。そのシグナルを見落とせば、突然、倒れる。ある人はOKでも、ある人にはNGということもある。それはわからない。人生が一期一会であるように、人の命のありようも千差万別であり、一葉ではない。それが、どのような変化率で推移するかなど、だれもわからないからである。人との出会いも別れもまた同じである。どのような相互作用が起きるかなど、わからないからである。駆け落ち同然に結ばれた人も、数か月以内に、罵詈雑言を浴びせあい、別れることもある。何気ない縁で結ばれた人も、末永い縁で結ばれることもある。未来は、いつの世で不確定的なもの、しかし、それも、大抵は、揺らぐ人生の中の振幅の範囲内である。振幅の範囲外に飛ばされたとき、それは、生存が許されなくなったとき、事故や事件や災害に巻き込まれて、命がついえたときである。たまたま、歩いていたら、車が飛び込んできて、死去することもある。
最後は、人生の終着点に到着する。ピークを過ぎれば、人生はグライダーと同じかもしれない。エンジンに余力がなくなれば、落下していく。遠くまで飛ぶには、質量を落とすしかない。意地汚くため込んでいけば、重たくなり、NGになる。利他になるように、最後は、解放することである。世のため、人のために、自分がこの世で蓄積したものを、惜しみなく与えることである。宇宙の主旋律のリズムに乗ることである。そうなれば、浮力にのる。のらりくらいと、ゆっくりとした勾配となり、遠くへといける。やがて、星の瞬きと区別がつかなくなり、その光は、しずかに、闇へと溶け込んでいく。それが涅槃であろう。
2021年12月15日
シリコン系太陽電池からペロプスカイト型太陽電池へ。光透過度80%以上、表面抵抗10Ω/□の壁
透明導電膜電極
光透過度80%以上、表面抵抗10Ω/□の壁
① できるだけ面の大きな、層の薄いグラフェン
② 径の細いアスペクト比の大きな解繊されてCNT(SWCNT/MWCNT)
③ 両方とも欠損のない状態
この解は、プロダクト側(ナノカーボン乳化)とプロセス側の二変数の中にある。透過性を上げるには、光の波長以下に細かくする必要がある。それだけ接触抵抗が生まれる。欠損のない導電バインダー(MWCNT)が必要である。全体を成膜化する欠損のないアスペクト比の高いより解繊されたSWCNTが必要である。面を構成するのは、無数のグラフェンである。
キーとなるのが、スーパーBERYU モジュールの使い方になる。光透過性とナノカーボンにおける導電性とはトレードオフの関係である。均質なナノカーボンの美しさが求められる。さらに、太陽の光を効率よく電気エネルギーに変える必要がある。これは、難しい難題である。
なぜなら、CNTは凝集するからである。だから、解繊された欠損のないMWCNTと解繊された欠損のないSWCNTとできるだけ面が大きくて層のうすい均質なグラフェン面とで、均質な薄膜をつくる。光透過性があり、導電性があることは、全体が雲のような状態、霧のような状態である必要がある。層が薄くて、一番導電性が、でるのは、確かに、SWCNTなのである。主剤は、SWCNTとなる。美粒は、それらを解決できるツールをもっている。その解をみつけるのは、ひとつの芸術作品を作り上げるのと同じ作業である。これはひとつの利他である。未来の人のために、巨大地震や巨大噴火が起きる前に、やらなければならない一つの大きな壁となる。
2021年12月12日
透明導電膜電極、面と層での分離
原料コストや量産性からみれば、カーボン材でいえば、下記のような順位がつく。
① 黒鉛
② カーボンブラック
③ コバルト系触媒MWCNT
④ 鉄触媒MWCNT
⑤ 酸化グラフェン
⑥ SWCNT
したがって、黒鉛とコバルト系触媒MWCNTで構成される黒鉛ペーストは、非常に費用対効果がたかい。しかし、それだけでは、透明導電膜電極としての使用は難しい。なぜなら、透過度に対しての導電効果が悪いからである。上記の中で、一番、薄くて、導電率の高いカーボン材は、SWCNTである。きれいに解繊されれば、アスペクト比が高くて、比表面積が高く、ガラスの面に綺麗に塗れば、透過度があって、低抵抗になるからである。そのためには、均一な解繊が必要になる。問題点は、コストの高さにある。
イノベーションを起こすのに必要なものは、費用対効果と量産性である。そういう観点からみれば、黒鉛ペーストは、理にかなっている。しかし、ある意味、そこにあるのは、ごった煮状態である。面が小さくて層の厚い黒鉛、面が大きくて、層の厚い黒鉛、面が小さくて層の薄い黒鉛(グラフェン)、面が大きくて層の薄い黒鉛(グラフェン)、解繊されたが折れたCNT、折れていないが未解繊なCNT、折れていない解繊されたCNTが混在している。
透過性と導電性がいいのは、層の薄い面の大きな黒鉛(グラフェン)と解繊された、折れていないCNTである。ともに重要なのは、欠損のないものである。(BERYU SYSTEMの優位性は、欠損を抑えて、剥離、解繊する技術にある。)
黒鉛ペーストをG-NEPにする。そうすることで、いろんな溶媒に再分散させることが可能となる。また、篩わけをすることで、微紛(FINE POWDER)と粗紛(Coarse powder)とに分けることができる。これは、面の大きさで選別することになる。この工程では、大きさの選別はできるが、層の厚みでは、選別できていない。
適当な溶媒にいれて、BERYU SYSTEM で軽く再分散させる。そこで、遠心分離器で、重量で選別する。層があるものは、重たいから、沈むはずである。これで、4つのカテゴリーに分けられる。面が大きくて層の薄いものが、透過度に対して導電性が高いはずである。
光透過度に対してより高い導電性を求めるのなら、SWCNTは必要になるだろう。ネットワークを作るには、SWCNTがあった方がいい。その時、黒鉛とCNTの比率が重要になる。透明導電膜電極に対して、ほかの電極と異質なのは、そこに、光の透過性が絡んでくるからである。透過性と導電性との最大公約数的なものから、配合比等の処方バランスが検討されるはずである。
G-NEPで粗紛と微粉とに篩でわけて、それを簡単なミキサーでかけて、紙に同量ぬって抵抗値を測定した。当然に、粗紛で構成される分散液の方が導電性はいい。
2021年12月10日
日本民族や国土を守るためには、自給自足ができる技術革新が必要。
もはや、日本の未来は衰退の一途をたどる。いくら、高齢化社会といえども、90歳ぐらいがもはや命の限界である。そうなれば、少子高齢化であり、人口が減っていく。未婚率も上がっている。結婚していても、出生率が下がっている。その要因は、未来が不安だからである。これが日本のあるべき姿のなら、自然淘汰的に、人口がへり、労働人口もへり、ぽつんとした状態に戻るのなら、それもやむを得ない。明治時代からの富国強兵から始まった膨張政策は、敗戦を迎えて、一時は下がったが、それから再び盛り返し、バブル絶頂、JAPAN NO.1まで上り詰めた。それから、収縮過程である。少子高齢化の後は、加速度的に、人口減少が起きる。
我々には、日本を守る義務がある。日本の文化・風土・芸能・日本で育まれた技法・技術もまた同じである。なぜ、日本人は山をすてて、町に出てきたのか、山では生活ができないからである。平野には田んぼがある。電気がある。今では、コンビニがあり、働く場所がある。なんとか、生きれる場所が確保されるからである。それは生きるだけの場所である。結婚して、家庭をつくって、子供をつくって、子孫を残すという事ができない。そもそも結婚を維持できる余裕がない。自分ひとりが生きるのが精一杯の状況、それが今の日本なのである。
経済も政治もこのような状態である。どのようなものにも、慣性が働く。だから、急には変わらないし、変えられない。しかし、現実的な方法論としては、都会から地方への分散という事しかないはずである。山に帰る。廃村になった村に帰るということしかない。そこで、家族が生活できる糧を得るには、出費を減らすことなのである。収入が伸びなければ、出費を減らして、養育費に回すしかない。ある意味、自給自足ができる社会を作らなければ、日本は滅びるということになる。
その根本は、何か。電気なのである。どんなへき地でも、自前で発電でき、蓄電できれば、すべてがうごく。WIFIがあれば、どんな山村でも世界とつながる。土と水があれば、山の恵み、川の恵み、海の恵みで生きていける。最悪、収入が途切れても、自給自足の生活ができる。ふるさとで、子育できる余裕が生まれる。野山を犬と駆けずり回ることができる。家は、家電で満たされている。リモートであれば、仕事場は都会でなくてもいい。リモート医療も受けられるだろう。
日本には資源がない。しかし、自然のエネルギーはいくらでも充たされている。太陽光のエネルギー、雨、雪、水のエネルギー、風のエネルギー、火山であれば、地熱のエネルギーである。それぞれの家庭に、発電する設備、蓄電する設備があれば、未来に対してなにも心配はいらない。そこで、生きていけるからである。自前分のコメをつくればいい、野菜をつくればいい、川で魚をとればいい。電気があれば、どんな水も浄化できる。都会以上の贅沢な暮らしを低コストで賄うことができる。そのような環境ができれば、自然と日本は潤う。ほんとうに、困っている人や障害を持つ人にも、十分な手当てがいきわたる。田舎でできることがあれば、わざわざ、都会に出てくる必要もない。
世の中の進歩ははやい。10年前のパソコンなど、もう使えない。もはや、4G、5Gなど当たり前で、反応の遅いツールなど、使えない。しかし、もはや、既存の技術の限界にこの国の技術はきている。一秒、起動に差があっても、もはや、感覚的に、差があるとは思えない。キーボードで打つ限り、5年前のパソコンと今のパソコンの差は、あまり感じられない。普通に使っている限り、飽和に近づいている。液晶も同じである。つまり、30年前に起きた技術革新は、すでに、飽和に近づいて、新たな技術革新が起きていないということになる。その一例が、ナノカーボン事業である。グラフェンやCNTといったカーボン材の進化発展が起きていないのである。
昔から、次世代型として、太陽光パネルの電極として注目を集めているのがCNTにおける透明導電膜である。しかし、うまく進んでいない。光の透過率がわるければ、発電効率が落ちる。いくら透明になるように薄くぬっても、電極であるかぎり、導電性が悪ければ話にならない。カーボンナノチューブなら、どれだけ、径がほそく長いチューブができるか、その一本一本で構成される面にどれだけの抵抗があるかなのである。いくら径が細くて長いチューブが解繊できても、その表面がぼろぼろ、欠損がおおい穴だらけのものなら、話にならない。グラフェンもまた同じである。いくら薄い面があっても、それをつなぐ導電性バインダーがなければ、面と面とのつなぎ目で抵抗が生まれる。蓄電も、電池も、防食下地塗料も、すべて、導電性ペーストとして、機能するかどうか、それで費用対効果がでて、量産可能な技術になっているか、どうかなのである。
世の中の進歩をみれば、新しい素材は、プロダクト側とプロセス側とのマッチングでなりたつ。プロダクト側の変数Xとプロダクト側の変数Yとの組み合わせXYの解できまる。その解も時代の要求と費用対効果で変化する。当然に、プロセス側の変数Yは、無限には存在しない、すくなくとも、既存の技術が主体となっている。プロセス側変数、Yを固定した状態で、プロダクト側変数Xを動かして、今までは求める解Zを、出してきた。新しい技術は、10年、20年かけても、答えは出ていない。CNTは日本で生まれ発展してきたものである。しかし、ほとんどが撤退し、廉価なCNTはほとんどが輸入である。グラフェンに関しては、費用対効果がでないから、うまくいかない。プロセス側の変数Yが固定していれば、日本で研究開発する必要性がない。コストに合わないから、撤収である。
新しいものは、XYの2変数で決まる。その解の組み合わせは、ロジック的には、無限にある。プロセス側の人間には、プロダクトを作ることはできない。だから、プロセス側のノーハウを提供して、共同で、2変数の解を導きださなければ、未来は存在しない。少子高齢化や出生率低下、未婚率上昇、この事実から、100%、50年後の日本の未来には活気がない。なぜなら、子供がいないからである。腰のまがった老人の杖で、異人が進入してきたら、国土など守れないからである。B29を竹やりで落とせという以前の問題になる。戦える若者が日本にはいないからである。
50年後とは、今の20歳の人が70歳になるときである。今、40歳の人の80%はこの世にいない。今、早急にやるべきことは、自然エネルギーを効率よく、費用対効果よく、電気エネルギーに変えて、それを蓄電でき、どこでも自由に出し入れできる技術を作り上げることである。夫婦で求めるなら子供が何人でもうめて育てられる環境をつくることである。
現状、下記のスライドに示すように、カーボン材で、ここまで、低抵抗なものが出来上がる技術が育っている。相対比較になるが、ステンレス定規との抵抗の差を見てもらえればいい。これも2変数の解のひとつである。求める解が、この強度でこれだけの薄さで、これだけの抵抗値であるものというのであれば、結果からみて、プロダクトXとプロセスYの条件は一つになっている。そして、それが安く、費用対効果のある生産技術にのっているかの条件を満たすのかと、なれば、それは、YESと答えることができる。なぜ、このようなものができるのか、答えは、簡単である。プロセスYを変化させて、プロダクトXがどう変化するか見たからである。今まで見ようとしなかった要素をひとつ、ふたつ、足してみたのである。ある意味、新ネタのマジックと同じである。ちゃんと種も仕掛けもあるプロセスでプロダクトを動かしたら、このような結果になったと言っているだけである。
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2021年12月6日
高粘度高チクソ性溶液の混錬解繊システムとは
ポンプシステム、これは私の頭の中のシュミレーションです。これは実際には、簡単に作ることができます。エンジンのように回転運動を上下運動にかえるクランク式では無理ですが、ピストン方式であれば、かならず、左右の切り替え、圧縮工程と吸引工程が存在します。その間をタイマーで可変制御するという発想です。それと、それにあわせて、インレット側には、自動高圧ボールバルブがつきますので、連動すれば、流体に連続性があれば、はいっていきます。粉のまわりは空気だらけです。初期は、粉体を流体の中に入れれば、そこに空気が邪魔して、濡れを阻害します。親和ゲル化を促進させるには、ずりの力が必要です。たとえ、濡れがわるくて、しかも、高粘度流体でも連続性があれば、ポンプは押し出します。基本的に、高粘度高チクソ性溶液でも、いったんシリンダーに入れば、いろんなことができるということです。CNFやPVBの親和ゲル化も、その一例です。ポンプの中に入れば、あとは、どのくらいの力を加えるかです。美粒モジュールで、解繊ゲル化も、親和ゲル化も、簡単にできます。簡単というよりも当たり前にきれいにゲル化するということです。
偏心押し出しポンプやエキストルダーの基本の力は、偏心軸でのキャビティをゆがませることでのせん断力です。自転公転の混錬機も似た感覚です。3本ロールも同じかもしれません。それらの装置は、混錬はするけど、解繊はしません。濡らすという作業をしていません。ある意味、それもやむを得ません。なぜなら、高粘度高チクソ性流体の混錬解繊できるツールが世の中にないからです。鉄触媒のCNTも、粘度が低い状態であれば、径を細くしなければ圧力がたちません。試験機では、0.15mm以下のノズルが必要です。しかし、そのノズルでは詰まって動きません。しかし、高粘度になれば、すくなくとも、確実に0.5mmぐらいなら通ります。粘度で径を細くするという発想が成り立ちます。そうなると、分散装置側でコントロール条件をあわせる必要がでてきます。それが、美粒モジュールの最適化です。そのためには、なんとしても、シリンダーの中に入れ込んで、美粒システム側に押し出すことが必須になります。100Mpaもでれば、世界が変わります。高濃度になれば、必ず高粘度高チクソ性にならざるを得ません。現場にこのツールがないから、諦めるわけです。従来のツールでなんとかこの壁を乗り切ろうとするわけですが、基本的に無理です。濡らすことができないからです。濡れるから解繊ができる、剥離ができる、乳化ができるわけです。
高粘度のものを入れるには、ピストンの吸引速度を遅くする、吸引工程から圧縮工程への切り替えを長くする。そして、そのタイミングにあわせて、インレットチャッキに電動高圧バルブ(100Mpaなら、アメリカ製ならボールバルブが対応できます。)をつける。これは、ある程度、既知な情報です。すこしスマートで技術がわかる人なら、容易に考え付き、実践できるものです。既存の装置でもちょっと改良すれば、簡単にできます。しかし、それでもすすまなかった理由は、ひとつしかありません。分散側での可変制御する技術が無かったからです。つまり、美粒システムが無かったからです。今後、G-NEPの存在が明らかになってきます。頭のいい人はすぐに、これをどのようなものにまぜるか、検討します。当然に、高粘度高チクソ性の流体になります。30Mpaか50Mpaぐらいの力でも一発で高粘度溶液に再分歳可能です。今後、電極スラリーも高濃度化が必須です。CNTもCNFも熱可塑性樹脂の高粘度高チクソ性溶液の中に混錬解繊ができないから、用途展開が停滞しています。ゴム溶液、樹脂溶液もそうです。
2021年12月5日
アメリカの高圧ポンプ技術のすごさと分散技術のお粗末さ。
BERYU MINI、それなりの台数を日本の企業に入れている。美粒自身も黒鉛ペースト等の開発に使っている。それに使用しているポンプはアメリカ製のエアーポンプである。普通に使っていれば、シールが破損することはない。高粘度樹脂溶剤に固い酸化物を通して、そのまま洗浄せずに、放置すれば、シール面に、樹脂や固い酸化物が固化して付着する。それで、がりがりと動かせば、シールがやられる。そのような事例以外は、シール交換など過去したことがない。たしかに、そのシールは420Mpa対応の装置にも使われているものだから、100Mpa程度で破損するものではない。アメリカからは、部品図は送られるが、詳細なダイヤフラム図はこない。だから、どのような原理で動いているかは、開示されていない。壊れないから、中をふつう見ることもないし、詳細が明示されていないから、原理がわかるはずもない。ポンプメンテをしている以上、全部バラバラにしてみなければならない。いままで、意識していなかったが、ひとつひとつ、追っていくと、これを考案した人の頭の良さに気づく。日本人には作れない発想である。マジックには常に種がある。これはマジシャンの発想だと気づく。最近の日本製の高圧分散装置は、トレンドを意識して、サーボモーターとボールねじで動かす試験機が多くなっている。日本が得意とするサーボモーターと、ボールねじ、小型シーケンス、センサーとの組み合わせである。微細な制御はできる。しかし、分散技術がアメリカのコピーだから、どうにもならない。水系ならいいが、溶剤系なら、動かせない。防爆構造ではないからである。
アメリカの発想がわかれば、日本人なら、同じものが作れるし、さらに改良品がつくれるかもしれない。しかし、現実的にはコストが合わない。高圧フィッテングも、ほとんどがアメリカ製だから、買った方がやすい。日本が得意な分野は、やはり、混合分散の世界である。包丁で料理をさばく料理人と同じ世界感である。日本製が優れていると評価されるのは、感性が生かされている世界である。単純に数字化できない、複雑系の世界なのである。その最たる例が、化粧品である。効果効能がないのが化粧品であるから、塗ったときの官能が最大の評価である。官能など、定量化できるものではないが、それを作り上げるのが、日本の化粧品である。アメリカは、デジタルの1か0の世界感である。アナログをデジタル化するのが、アメリカである。アメリカのエアー高圧ポンプ、このデザインロジックはすごい、ロジックがわかれば、コピーすれば、類似品はできるが、このオリジナル発想を作り上げることは、日本人にはできない。
これほどの高圧ポンプ技術があるのだが、逆に、それに付随する高圧分散技術はお粗末である。敵か味方か、壊すか壊れるかであるから、分散は、粉砕しかない。だから、高圧になる。そして、力を受ける部材の強度を上げる。あくまでも、織田信長的発想である。だから、まともな高圧分散装置がアメリカには、育たない。しかし、高圧ポンプ技術は、20年前とくらべると、とんでもなく進歩したが、分散技術は30年間、何もかわっていない。だから、アメリカも何かないか、新しい技術を模索している。
低粘度の分散はそれほど、難しくはない。なぜなら、ポンプに入るからである。高粘度や高密度、高チクソ性の溶液となると、そもそも、ポンプに入らない。ポンプに入れるためには、粘度を落とすしかない。それでは、意味がない。その要因の一つは、吸引工程と圧縮工程が常に、連続しているからである。
吸引工程と圧縮工程とを分離することが必要。
注射器で、薬剤を吸引するのと同じである。粘度のないものはすぐにはいるが、粘度があるものは、すこし待たなくてはいけない。吸引工程と圧縮工程との間を切ることなのである。液が完全に入った状態後、圧縮工程に進むことである。当然に、シーケンスからみれば、圧縮工程と吸引工程にも間(ポーズ)が必要になる。そうなれば、機械式のインレットチャッキよりは、電動で動く高圧ボールバルブの方がいい。高圧ボールバルブの方が径が大きいので、高粘度液は通りやすい。間があれば、高圧ボールバルブの開閉の時間がとれるからである。
後は、美粒システムのデザインである。使用できる上限圧力、処理物の粘度、密度、チクソ性、求められる分散性に応じて、デザインが決まるのである。重要なのは、きちんと、ポンプに処理物が入って、押し出せる状況にあるということ。それに対して、分散システムをどう配置デザインしていくか、なのである。
3本ロールや混錬機等の練りこみには、解繊力などない。CNTやCNFなど、解繊しながら、樹脂や高粘度溶液には混ざらない。G-NEPを、きれいに分散させるには、やはり分散力が少しは必要になる。特に、電極スラリーの分散精度をさらにあげるには、どうしても、高粘度スラリー対応が必要になる。BERYU SYSTEMがアメリカに伝授されれば、アメリカの高圧ポンプの技術と融合するだろう。そうなれば、高粘度高チクソ性溶液の混錬解繊技術が大幅に変わるはずである。電極スラリーやCNFやカーボン樹脂スラリーの世界観が一変するはずである。
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2021年11月30日
美粒スーパーモジュールとG-NEP
スーパーという冠をつけるのは、このモジュール、これだけです。これは、世界でも唯一無二の存在です。基本的に、職人の私が作り出すものですので、そういう意味では唯一無二でしょう。ある意味、職人はマジシャンと同じです。プロセスとプロダクトを融合・最適化させ、未来の夢を作り出すのですから、これはマジシャンです。種を明かさないのが、マジシャンですが、ある程度、科学的な根拠を示さないと、胡散臭いと思われます。実際に、黒鉛ペーストができています。
原料を配合して、簡単に撹拌して、最終、100Mpa、2パス通せば、簡単に出来上がります。最初は、簡単な手撹拌程度ですので、従来のプロセスのように、そこで、どうのこうのいうことはありません。後は、機械を通すだけです。機械の能力で、生産量が決まります。あっという間に、できてしまいます。30-40パスも150MPa 以上で処理する必要もありません。本当は1パスでもいいのでしょうが、より均一さを増すために、2パス処理しているだけです。当然に、3パス、5パスかけた方がいいでしょうが、それだけ、生産コストがアップします。2パスと4パスでは、試験機程度では感覚的には差はないでしょうが、量産になったとき、作業時間が同じなら、装置スケールは倍になります。それだけコストアップします。パス回数が倍に増えるのは、致命的なのです。
美粒はいつも、100Mpaぐらいを常用とします。それが、費用対効果としての上限です。装置は簡単に圧力を上げることができますが、それだけ負荷がかかります。粉砕方法の装置では、作用反作用で、圧力の半分は自分を壊すエネルギーに使われます。圧力がたかくなればなるほど、指数関数的に、破壊が進みます。ですので、少量で付加価値のでるもの、寡占化できる商品はいいですが、大抵は、生産者に厳しい現実を突きつけます。机上で物事を考える人は、生産性など、ある意味、意識していません。少量でもものが出来れば、いい、という世界観です。できた結果だけが重要なので、生産コストや市場性など考えていません。作れないもの、市場性がないものを、世にだしても、何も変わりません。世の中は、机上で物事を考える偉い先生のいうことには耳をかたむけますが、いかがわしいマジシャンのいうことは、首をかしげます。できた現物をみせても、脇に置くだけです。
そうはいっても、世の中は、ものがあって、そこに価値を見出せる人がいれば、これは商売になる、同時に、未来のため、何か役立つことができると感じる人が出てくるわけです。それが、本来の総合商社的な人、技術支援的な人、今、話題の渋沢栄一氏みたいな人が出てくるわけです。合本をするには、箔をつけなければならない、そうやって、マジシャンがつくりあげたものが、ひとつひとつ、形になっていくというのが、この世の道理、未来からの要請という感じになるということです。それがないものは、自然淘汰される。本来、そこに何も価値がなかった。何かのきっかけで生まれたものですが、もともとそこに意味がなかったものは、どこかで泡沫のように消えることになります。美粒システムも美粒黒鉛ペーストもG-NEPもそうならないことを願いますが、いままで、色々なものを見てきたし、評価してきた、その中でも、これは世界でもピカ一の技術だと、思っています。プロセスは本物なので、黒鉛ペーストは、今、客観的な評価をいろいろと受けだした所です。どのアプリケーションに最大の効果(費用対効果)が出てくるのか、わかりません。蓄電、電池関連に生かされたら、生産コストと材料コストが安いので、世界は大幅に変わるはずです。それは、アプリケーション次第です。マジシャンが口をはさむことができない領域です。
カーボンとの出会いは、黒鉛の剥離からです。簡単なようですが、面をわらずに層を薄くすることはなかなかできません。一番安くグラフェンを生成する方法は、黒鉛の面にセロテープをはって、それをはがすことです。セロテープの面にうすいものが付いてきます。それがグラフェンです。このようにすればいいとわかっていても、現実的に、黒鉛面を機械的にはがす技術が、存在しないのも事実です。次にCNTです。これは解繊です。剥離とは違います。チューブが凝集し絡まった状態でできてきます。それをおらずに解すことが必要です。これも、なかなかできません。また、CNTは触媒から派生してきますので、内部に触媒を内包するわけです。これがあるために、綺麗に解繊ができません。二つまとめて、面倒をみましょうということで、ナノカーボン乳化ができたわけです。水よりも低沸点の液状の、水となじみにくい溶剤を油として使用すれば、ナノカーボンで油を包んでしまいます。油が細かくなればなるほど、黒鉛も剥離していきます。そして、黒鉛面に、解繊されたCNTが吸着していきます。それが美粒黒鉛ペーストです。CNTや黒鉛は水になじみません。ですので、分散助剤が必要になります。そのために、CMCを使っています。それが水に均一になじませるには、親和ゲル化の力が必要になります。粉砕以外の四つの分散方法とは、剥離、解繊、乳化、親和ゲル化ということです。
つまり、粉砕以外の4つの分散力を、うまく使っているのが美粒システムです。黒鉛ペーストはこの4つの分散力を、最大限に発揮できるようにしています。そういうシステムを構築しているわけです。それが、大まかな種明かしです。細部は、マジシャンの生命線ですので、知りたければ、お代を払ってねということです。ただし、人前で、オリーブの首飾りの曲に合わせて、マジックを披露するには、相当な修行が必要です。
美粒黒鉛ペーストを乾燥させて、粉にすると、G-NEPとなります。Gとは、Graphite のGです。この黒鉛ペーストの主剤は黒鉛だからです。NEPとは、Nanocarbon Emulsion Powder のNEPです。ですから、これはG-NEPとなります。黒鉛ペーストをホットプレートの上で乾燥させると、カメの甲羅のような感じになります。これがCNTの凝集力です。この島、実に均一です。ここにあるカーボン材の圧倒的なものは黒鉛です。CNTの素性がみえないのは、CNTが均一に分散されているからです。だから、これを粉にして、溶媒にまぜれば、均一に再分散するのです。それも、それほど、強くない力でどのような溶媒にも分散します。また、せん断をかければ、樹脂にも練りこんでいきます。
マジシャンの仕事は、黒鉛ペーストまでです。溶媒をとばし、粉体化するのは、どこでもだれでも、できます。そこにマジックはありません。既存の技術で充分です。
マジシャンは、人を、言葉やイメージで惑わす幻術使いではありません。すべては、ネタがあるわけです。人が見出していない物理現象をひとつひとつ、つないでいって、一つの事象を作り上げているわけです。マジックのように見えるのは、物事の一面しか見ていないからです。粉砕していいのは、固い酸化物です。それでも壊れないから、物の機能が保持されているわけです。黒鉛やCNTを割ったり壊したりしたら、その中に隠れている機能まで破壊してしまいます。
2021年11月28日
美粒黒鉛ペーストが出来た理由。現場感覚と机上感覚のずれ。
28%の既存の黒鉛ペーストと1%のCNT分散液、どちらが、導電性がいいのかといえば、机上感覚からすれば、CNTと思う。しかし、現場感覚からすれば、その逆である。実際に、現場でぬれるのは、2回か多くて3回ぬったらおしまいである。なぜなら、時間と手間のコストがかかるからである。10cm2の面に、2回、濃度28%の黒鉛ペーストを塗ったものと、同じように1%CNT分散液をぬったら、どうなるか、濃度がある分、厚みがでる。既存の黒鉛ペーストはそれなりに剥離工程を施し、導電バインダーに多量の導電性ポリマーを使用しているため、黒鉛がぴったりとつく。縦方向の導電性はおちるが、横方向にはそれなりの導電性がでる。しかし、机上感覚であれば、それはずるいと考える。同じ厚みにして、評価基準を合わせないと、だめだと、考える。普通でも、14回以上は塗ってみる。当然に、厚みがあれば、1%CNT分散液の方がはるかによくなる。
物の良さと費用対効果としての良さはまるっきり違う。夢の素材といわれるCNTもグラフェンも、それだけをみれば、すばらしいといえるが、それを含めた最終素材まで仕上げ、しかも、費用対効果がでて、初めて価値がでる。分散液やペーストだけを評価するならば、2回か3回ぬって、導電性をチェックし、しかも、その時の単価が、妥当性があるかどうかである。現場感覚からすれば、ペーストや分散液とし、量産品とみれば、1万2000円/kgぐらいが上限とみる。もちろん、少量添加材とすれば、後は、費用対効果次第である。
現場感覚と机上感覚のずれは、生産規模にも影響する。スマホやタブレットに入っているセラミック積層コンデンサー(MLCC)であるが、世界ニーズにこたえるとしても、生産量は大したことはない。その大きさは年々に微細化になる。その蓄電の容量は比表面積と積層数に依存する。もともとの大きさが小さいから、生産スケールも、それほど大きなものではない。しかし、LIBとなれば、大きさが、MLCCと比べたら、天と地との違いである。多量につくらなければならないから、コスト重視である。生産プロセスを根本から変えることはまずできない。基本は、分散しながらの混錬である。エネルギーベース的には、50年ぐらい前からかわらない。従来のプロセスを維持しながら、原材料の組み合わせと運用方法の改善で効率をあげたきた。しかし、もう、飽和に近づいている。新しい燃料電池が開発され、生産プロセスも改良されたら、再び下克上がうまれるかもしれない。
カーボン材として一番安い原料はなにか、それは黒鉛である。黒鉛を生かすには、割らずに、層をうすくする剥離技術が必須となる。それが、いままでできなかった。黒鉛は粉砕するものと決まっていた。黒鉛を剥離すれば、グラフェンができる。割らずに層を薄く簡単に剥離できれば、これは、すごいことなのである。次に安いカーボン材が、コバルト触媒の多層カーボンナノチューブである。国内では1万円/kg以下である。美粒システムとナノカーボン乳化手法を用いれば、黒鉛が効率よく剥離し、しかも、同時にMWCNTが解繊できる。したがって、美粒黒鉛ペーストの主剤は黒鉛、助剤としてはMWCNTを使用する。MWCNTの機能は、剥離した黒鉛を連結する導電バインダーの役目となる。発想の転換が必要になる。
いずれにしても、分散液やペーストを2回ぬって、抵抗率を最小にするものが、効果的には最高である。あとは、生産コストである。しかし、この感覚がほとんどの人が分からない。やったことがないからである。机上で物事を考える人は、生産スケールは当然に意識するだろうが、どうしたらいいか分からないのが実態である。特に、高圧分散装置など、簡単には手に入らないし、机上で扱えるものではないと考える。日本製の最近の高圧分散装置は、サーボモータとボールねじの制御で100Vか200Vで動かすものを試験機として販売している。プランジャーの速度をあげて、100Mp,150Mpaを上げるものもある。プランジャーの座屈やサーボ―モーターのトルクの限界があるから、低粘度のものでしか対処できない。高粘度ペーストなどは、公転自転の卓上の装置で試作すればいいと考える。その装置はあくまで混錬であり、それを永遠に回しても、黒鉛は剥離しないし、CNTも解繊などしない。したがって、国内で最強と思われている黒鉛ペーストも、薄層化した黒鉛を導電ポリマーで接着しているが、構造上、強い酸性を示すために、使用できる装置や添加物にも制限が加えられる。
生産技術が分からない人は、どこも安易な方法論を選択する。エネルギーを上げようとする。150Mpa、200Mpaで量産システムを組もうとする。まずは、パイロットスケールでトライする。少量で対処できる製品、付加価値のあるもの、軍事に関してのものなら、コストなど関係ないから、ものができれば、うごく。しかし、普通は、そこで、プロジェックトはストップする。なぜなら、装置が壊れるからである。利益よりも、経費の方が多くなるからである。
なぜ、私は、黒鉛ペーストを、100Mpa 2パスで止めたか、それが、かならず、損益分岐点となるからである。3パス、5パス、掛けたらさらにいい。圧力もUPしたほうがいい。しかし、費用対効果が落ちてくる。生産コストがアップするからである。それと、日本や中国にはシール材を含む高圧ポンプ技術や高圧フィッテングの技術がない。100Mpa、2パスぐらいなら、なんとか対処できるかもしれない。それが、簡単にできる国はアメリカなのである。だから、美粒の考え方が、アメリカに浸透していけば、必然的にカーボン材はアメリカ製造にシフトするはずである。
美粒も高圧ポンプを作っていた。だから、細部がどうなっているのかわかる。今現在、美粒が使っているポンプはアメリカ製である。時々、メンテでポンプを分解する。内部も年をますたびに、改良している。実に発想がいいし、合理的である。20年前と比較すると、雲泥の差がある。すばらしいものである。しかし、その間、日本製に進歩があったかといえば、殆どない。発想する力がないから、サーボモーターとボールネジ、タッチパネル制御、内部シーケンスなど、ほとんどが、おなじ、ワンパッケージで外部技術に頼るだけである。分散方法も、原理的には、海外のコピーか、美粒の亜流品である。オリジナルティなど、どこにも感じられない。また、アメリカも分散方法は、旧来のままである。敵は叩き潰すのが基本だから、アメリカの分散方法も、粉砕である。しかし、それが飽和している。それに気づけば、一気に世界を変える力がある。
日本は、農耕民族である。文化としてみれば、美を基調としている。曲線の美学である。CNTは日本発の技術だが、殆どが、撤退している。しかし、日本にも素晴らしい発想をもつCNTがある。それが、触媒レスのCNTである。稲作と同じように、触媒からCNTを刈り取るものである。CNTの最大の欠点は、触媒を内包する点である。コバルト触媒は、もろくて触媒の大きさが小さいから、通常の美粒システムでも解繊ができる。しかし、鉄触媒のCNTは、DMRという触媒除去システムを搭載しないと、解繊ができない。現状では、粉砕するしか使えない。しかし、触媒レスのCNTは、触媒が極端にすくないから、工夫をすれば解繊は容易である。これは農耕民族の発想である。美粒システムを使えば、この触媒レスのCNTは有用に活用される。
これからは文化の融合の時代になる。通信速度や処理能力やバッテリー効率がよくなれば、スマホで同時通訳が可能となる。コミュニケーションの壁が越えられる。そうなると、文化の独自性が重要になる。海外のコピーよりも、個性や独自性、日本独自の文化の価値が重要視される。まさに、ダイバーシティの時代でもある。欧米の風俗に迎合するよりは、日本の文化を発信した方が信頼される時代となる。日本の特徴は、美しい秩序性であり、乱れを制御した調和の美学に主眼がある。やはり、アメリカはアメリカである。アメリカにないものが、日本にあり、日本にないものがアメリカにある。私は、この美粒システムが、アメリカで花開くと思っている。アメリカの高圧ポンプ技術に乗ることが、美粒黒鉛ペーストやG-NEPを活かす道だと思っている。残念だが、日本には、高圧ポンプ技術がない。100Mpaといえども、生産技術がこの国では成立しないだろう。無理すれば、成立するが、どこかで費用対効果がなくなる。日本では、MLCCのように、少量でも付加価値がでるようなものに集約されるだろうと考える。
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2021年11月26日
美粒モジュール、その内部の減圧カーブの美しさ。
これが、美粒モジュール内での時間と圧力の指数関数値です。中大と小と微という標準モジュールの内部の減衰カーブを表で作りました。流量は200cc/分を想定しています。一応、ある程度の仮説に基づいて、美粒モジュールは作られています。これがどれほどの意味があるかわかりませんが、これが、作れるような理屈(思想、哲学)とその理屈を裏打ちするような数式を提示しないと、いい加減につくっているのかと、思われがちです。いずれにしても、結果が伴う限り、この関係式はそれなりの意味を示します。指数関数は、減衰するもの、ほとんどがこの形です。人の命も、この宇宙の命も、放射能の減衰も、ほとんどが、このパターンです。美粒モジュールを小宇宙といったのは、この指数関数的な動きがあるからです。
いままでは、あまり、この内部はいいませんでしたが、そろそろ、これを言わないと、いかがわしいものだと、言われるとおもいましたので示すことにします。美粒の本質は、乱さないということです。乱れは、破壊を生みます。だから、粉砕は乱れを伴います。微粒化の一つの考えに、破壊があります。もう一つの考えに、ひずみをとり、本来あるべき姿に戻すというものです。美粒が考える微細化とは、この方向です。ですので、CNTやCNFなどは、製造時、からまったものを、解すということから出発しています。それが解繊の意味です。それを粉砕してたら、CNTやCNFの存在を否定しているのと同じです。チューブや繊維をきって、ボロボロにして、何が楽しいのかと思います。地球温暖化を加速させる破滅的行為です。黒鉛も綺麗にはがして、やれば、グラフェンになります。それを粉砕したら、その機能も破壊してしまいます。
人を、ガラスがギーギーとなる部屋に閉じ込めたら、アウトになります。乱れを浴びせることになります。車がコンクリートに激突します。車は大破します。これが粉砕、破壊です。もし、人が乗っていたら、人は即死します。人の生命体が、壊れるからです。これと全く同じことなのです。人は成長していきます。生命を維持して、命が壊れないように、頑張って生きているのです。CNTもCNFも黒鉛も、本来、あるべき姿に剥離、解繊して、そうして、何かの複合体を形成しようとします。自己組織化です。
黒鉛ペースト、乾燥すればG-NEPです。ものすごく簡単にできてしまいます。私がいままで扱ってきたカーボンの中では、費用対効果としては世界一だと、思っています。かならず、時間の問題で、G-NEPは、市場に染み出てきます。なぜなら、乱して、作っていないからです。きっと、CNTや黒鉛やCNFが美粒モジュールに綺麗になじむのは、この指数関数のカーブにのっているからだと思います。これが、美しい秩序を生む一つの要因だと思います。指数関数の曲線はやわらかであでやかです。
アインシュタイン氏は、世界で一番美しい数式はE=mC2だと言いました。私はつぎに美しい式は、f=C*EXP(-Kt)だと思っています。人の命の終焉は、この減衰曲線にそって、閉じると思っています。
2021年11月24日
美粒黒鉛ペーストやG-NEPは、美粒システムがあるから、作れたこと。美粒の本質は、この時間と圧力との関数、時間と温度の関数の中にある。
同じ圧力でも、入れるものの特性で、仮に、同一のシステム(the same configuration)であっても、流量が変わる。それによって、物のでき方が変わる。流量が少なくなれば、それだけ、通過時間が長くなる。勾配が変わる。モジュールでも径の細い(小type)と大きい径の(中type)をおく、同じ圧力とすれば、当然に小の方が、流量が少なくなる。しかし、配管径との関係でみれば、流量がUPする分、配管内の流速は、中の方が速いことになる。入れるものによっては、ある程度の流速が必要なものもでてくる。非常に複雑で、分散で良好なものを得るには、何が支配因子か探る必要がある。圧力が同じであっても、装置の出口へと導かれる間のパスは無限にある。温度変化、粘性変化、弾性変化、外的要因、内的要因いろいろな影響を受ける。同じ山に登るにも、晴れた日、雨の日、雪の日、湿度、風、気圧、自分自身のコンディションによって、山に登るという目的に対して、状況が可変する。分散も基本的に同じである。
基本的に、標準の美粒モジュールは3つのセグメントに分割されている。スペシャルは4つである。単一複合モジュールは2つであるし、Wノズルは2つ、単一モジュールはひとつ、ダイヤモンドノズルは一つであるから、組み合わせによって、3つから6つのセグメントに分割されている。それぞれ一つのセグメントが、一つの関数となる。ポンプの出口からモジュールの出口まで、複数の関数の総和が一つの近似相関として見えてくる。世の中にある減衰は、ほぼ指数関数的に推移することが多い。
一般の高圧分散装置は、一つから二つのセグメントである。チャンバーやノズル部を冷却することなどできないから、温度の関数を見ることはできない。つまり、温度条件によって変化するものに対して、適切な最適条件を見つけることがそもそもできないということである。制御できないものだから、粉砕するしか方法論がない。乳化は高い温度状態で起こすのが一般的である。相転移温度まであげて、乳化剤で乳化する。回転式のホモミキサーと同じ原理である。粘性のあるポリマー系の乳化や牛乳のような自己乳化型の処方に最適化されたのが、高圧ホモジナイザーの基本である。使えるものが固定していたから、それはそれでいいのである。
美粒黒鉛ペースト、これは黒鉛の剥離とCNTの解繊と水となじまない疎水性の液体の乳化を同時に処理している。それに、分散効果のあるCMCを入れている。これは親和ゲル化でもある。4つの分散を、機能的に対処している。同じ圧力でも、勾配が違えば、違うものがでてくる。非常に高度な分散テクニックが必要である。美粒黒鉛ペーストでは、5つのセグメントに分割されているシステムを使用している。なぜ、そうしたのか、条件をかえていったとき、何が支配因子か、経験則で分かるからである。それが職人の感性である。既存の装置では、絶対に見つけることのできないパラメーターである。。
装置とは、最初にある特定のアプリケーション開発に対して、それが最適になるように作られたものである。歴史をたどれば、どれかというのがわかる。だから、チャンバー式のものは、リポゾームを生成するために作られたものである。だから、そういったものには適応するがほかのものには適応しない。また、壁にぶつけるウォータージェットカッターから派生したものは、固いものを壊す粉砕用に作られたものである。
だから、黒鉛の剥離やCNTやCNFの解繊、ピッカリング乳化などに適して作られていない。それらは、すべて、時間と圧力、温度の関数を制御しなければ、最適化など導けないものである。だから、まともなものができない。
世の中は、複雑なようで簡単であるが、分散はいろんなものの組み合わせだから、単純ではない。CNTひとつとっても、またちがう。ある意味、処方の配合比がわかっても、装置の細部条件がわからなければ、再現がとれない。細部条件がわかっても、処方が変われば、また変える必要がある。つまり、原理がわかり、複雑系の解を感覚で把握できる能力を習得しないと、いいものができない。企業にとって、次の新商品の種になるものができないということになる。
美粒黒鉛ペーストやG-NEPというものは、私がいままで見てきたカーボン材の中で一番費用対効果のあるものだと、思っている。美粒システムの総意をもって、つくったものだ。これでいいと思っている。これらの分散装置の中でいけば、名人級になるはずである。ポンプ設計や配管設計、製缶設計は教科書があるから、それを参照にすれば3年ぐらいである程度までいく。しかし、オリジナルな分散理論を構築するには、色々なものの処理をみて、物がどういう風に動くのかを観察しなければ、何が支配因子かなど、感覚的につかめない。自分で、パラメーターが可変できるものをつくり、実際に色々なものを通して、その差異をつかめなければ、新しいロジックなど構築できない。
色々な分散装置をみているが、みれば、どの系図から派生してきた装置か大体わかる。使われている業界も大体わかる。既存にある装置というのは、ほとんどが、コピーであるから、オリジナルティなどない。オリジナルティがあるように、言葉で修飾しているものもあるが、原理を抽象化すれば、どこかの系図に必ずあたる。つまり、どこもがどこかの分家であり、本家のコピーということになる。だから、そろそろ、種明かしをして、真実を伝えて、啓蒙しないと、粉砕―分級で、非効率なことでエネルギーの消費がますます加速する。地球温暖化が止まらない。仮に、200Mpaを10パスかけて処理したものが、50Mpa、2パスでできれば、エネルギーは1/20に削減される。
ある意味、どこも、微細化で比表面積を上げることで性能UPを導き出している。より高圧化、ビーズの小径化、周速UP、旧来の発想で行う限り、どんどん微細化に消費されない無駄なエネルギーが外部に放出されている。高圧分散機の世界でいえば、圧力とパス回数の削減こそ、エネルギー削減となる。150Mpaや200Mpaをかけて、複数パスをする。その半分以上のエネルギーは装置を壊すエネルギーに使われる。こんなバカげたことを繰り返していれば、地球はパンクする。そろそろ、真実を伝えて、変えていかないと、未来に生きる若者に申し訳がたたない。
2021年11月21日
老兵が次世代の人に何ができるのか?私にできることは、BERYU SYSTEM とG-NEPの考え方と技巧を伝えることである。
腕のいい旋盤工の人がどんどんやめていくし、この世からさる。旋盤一本で、今まで生きてきた人である。旋盤があっても、だれでもが優れた旋盤工になれない。アナログ的な方法論を習得するまでには相当時間がかかる。複雑なものは、治具をつくって、作り上げる。マシニングの機械があっても、それなりの時間はかかる。すべてに関して、一朝一夕にできるものではない。それが伝承芸である。修行して、親方になり、巧となる。そして、最後に名人の領域にたどり着く。たどり着いたら、残念だが、そこが人生の終わりでもある。
特に、複雑系といわれる分野には、感性と経験が必要である。化粧品や塗料関係の技術者は、分散に関して、ツール一本で、原料配合の組み合わせだけで、新規なものを作り上げる。包丁一本で、料理人としていきる人と同じである。
BERYU SYSTEMの本幹は、バラバラにあったツールを、粉砕技術とは分けて、分散機として一つに統合した事にある。粉砕は、壊す事、バラバラにすることである。粉砕とは、固いものを微細にして、その特性を生かすことでもある。特性を活かすには、これも比表面積を多くすることが重要、そのための粉砕である。それを樹脂と混ぜて、積層化すれば、積層セラミックコンデンサーとなる。ただし、その樹脂を溶媒に均一に親和ゲル化させるには、粉砕とは違う技巧が必要になる。単に粉砕だけではうまくいかない。
溶媒に対して、親和してゲル化するものとして、ほとんどが、高速ディスパーを使う。回転軸にギザギザの羽がついて、粉体をカットして、溶媒になじませるものである。粉体を混ぜるのにも使う。また、回転羽根の外側に固定板をつけて、タービン・ポンプ構造にしたのが、ホモミキサーである。ともに、60年以上前に作られたもの、それらが、化粧品や塗料関係の技術者のツールである。その固定したツールをもとにして、いろいろな配合物と配合比を変えて、新しいものをつくる。ツールが同じだから、経験則が生きてくる。
高速ディスパーやホモミキサーは、ただ、回っているだけに過ぎない。一つ配合が変われば、条件が変わる。新人が配属されても、いいものは、偶然にしかできない。なぜなら、経験測、アナログ的なデータベースが頭にないからである。科学的な知識も必要であるが、それは実験や現場を通して、知識が知恵に変わらなければ、現実には役に立たない。大学の教授が、実際に現場で物が作れるのかといえば、そうならない方が多い。だいたい、化粧品の技術者は、ホモミキサー一本で、化粧品屋を転々とする。包丁一本で、店を転々とする料理人と同じ感覚である。美粒は、昔、自社ブランドで、化粧品を作って販売した実績がある。そういう意味では、学歴よりも経験が重視される化粧品分野では、私も、化粧品の技術者とみなされる。特に、活性剤フリーのピッカリング乳化に関しては、アナログ的なデータベースが頭にあるから、巧の領域に入るはずである。CNFやスメクタイトは独特な構造体をつくるから、ピッカリング乳化には最適である。しかし、これは従来のツールではできない。できたとしても、非常に制約条件がつく。それがあるから、発展しない。美粒システムなら、それが最適化される条件を作ることはできる。すでに、わかっているから、それを開示したら、だれでも、原料があればできる。今後、中国やアメリカに美粒システムの技術がG-NEPを通じて、広がれば、間違いなく、CNFやスメクタイトをつかったピッカリング乳化は、特に、新しい技術に興味を示す中国人の間には、いち早く伝播すると思う。
乾式粉砕の限界は、ジェットミルにある。乾式であるから、媒体は空気になる。力の限界は空気の圧縮にある。空気は圧縮されるから、その危険度からみて、1Mpaが上限である。それをノズルから吹いて、微細化するというものである。あとは、たたく、うすのように、擦るという発想である。乾式で細かくするには、やはり、限界がある。それで、乾式から湿式粉砕となるが、それだけ、効率が落ちることになる。湿式でより粉砕微細化する装置として、ビーズミルと高圧湿式粉砕機がある。ビーズミルは、回転する固くて小径な玉(ビーズ)の中に処理物をいれて、高速回転させる。ビーズとビーズの間にある処理物は、ビーズどうしのぶつかりの中で粉砕される。もちろん、ビーズも疲労で破壊されるから、処理物に混ざるリスクがある。ビーズは消耗品ビジネスとして成立する。高圧湿式粉砕機は、処理物に圧力をかけて、それをノズルから噴射して、側近にある固い金属にあてる。そのことで、微細化するのが基本原理である。当然に、ノズル近辺は摩耗する。それによって、ノズルは、消耗品ビジネスとして成立する。粉砕は必ず、強い力で何かにぶつけることが原則となる。作用反作用で、圧力の半分は自分を壊す力に使われる。150Mpaかければ、75Mpa分、200Mpaなら、100Mpa分は、装置を壊す力として作用する。ものも壊れるが、自分も壊れるという発想である。装置側としてみれば、それによって消耗品ビジネスがなりたつ。だから、よほど、付加価値の高いハイエンド以外は、使えない。粉砕品の販売の利益よりも、消耗品にかかる経費の方が多ければ、かならず、撤退する。それが、今の現実である。装置側としては、消耗品ビジネスが成立する以上、微細化需要があるかぎり、雑草と同じように繰り返し市場にでてくる。それが不毛とわかっていても、利益がある以上、でてくる。
なぜ、CNFやCNTや黒鉛の剥離が、うまくいかないのか、答えは、簡単である。粉砕するからである。それらは、解繊と剥離であり、粉砕のプロセスとは異質なのである。CNF、CNTを粉砕しても、その特性が出てこない。黒鉛の剥離に関しては、ケミカル処理の酸化グラフェンだけがでてくるが、費用対効果がないから、売れない。作っても売れないから、撤退になる。CNFも同じこと、もちろん、海外でも同じだから市場性は乏しい。CNTは、粉砕しても、まだ、従来品よりはいいので、電池関係で、使われている。それも、コバルト系の廉価なMWCNTである。そうなると、製造コスト勝負であるから、日本に勝ち目などない。電池での利益もそのうち怪しくなる。もともと、CNTは日本発の技術であるが、日本で残るのは、たぶん、触媒レスのCNTだけであろう。あとは、海外からの廉価なCNTが使われることになる。連日、ネット等では、CNTがすぐに実用化するような情報がでているが、それはすべて期待値であり、蜃気楼なようなものである。下流の用途展開はみえても、そこまで費用対効果のある道筋ができるかである。
残念ながら、現状、汎用的に、使用できるCNTはコバルト系のMWCNTか触媒レスのCNTである。今は、鉄触媒のCNTは、粉砕するしか微細化はできない。そうなると、CNTの機能が生かされない。費用対効果がでないから、どうにもならい。鉄触媒のSWCNTは、ハイエンドには使われるだろうし、少量添加材の感覚であるから、生き延びる。もちろん、美粒が開発したDMRモジュールを使えば、触媒を除去しながら解繊するから、市場性は残る。利益が見込める用途が開発され、そこに膨大な資本がはいれば、DMRモジュールを使用しても、十分に生産技術としては機能する。
解繊、剥離、乳化、親和ゲル化は、粉砕とは異質である。もちろん、それぞれ、条件がちがう。ピッカリング乳化と解繊では、プロセスでの圧力勾配がちがう。剥離も解繊とはその条件がちがう。親和ゲル化も、物に応じて、条件が変わる。つまり、分散方法でもプロセスが変わるし、その物の特性でも、条件が変わる。また、解繊、剥離、親和ゲル化、乳化の4つが、入ってくれば、その最適条件もまた変わる。粉砕してしまえば、十把一絡げである。すべて、ばらばらであるから、無意味なものになる。その制御を最大限に生かしてつくったのが、美粒黒鉛ペーストであり、その乾燥品、それが、G-NEPなのである。その目的は何か、G-NEPをつくることではなくて、それを生み出した美粒システムの存在をアピールすることにある。99%、ノイズがかかった粉砕の世界に、解繊、剥離、乳化、親和ゲル化の異質なプロセスを持って行っても、抹殺されるだけである。本来はCNTで分かってもらえるところだったが、鉄触媒内在のCNTではどうにもならないから、日本から市場が消滅している。
美粒黒鉛ペースト、および、G-NEP、この存在をしめることにより、粉砕ではなしえなかった新しい分散の世界への可能性を示唆できればいいと思ったからである。私でもG-NEPが作れるのだから、美粒システムの原理と技巧、作り方がわかれば、いままで、閉塞していた世界が広がるはずである。それは何か、未来に生きる人のためである。G-NEP、水系にも溶媒系にも、従来のツールで、再分散する。ホモミキサー、ディスパー、混錬機、ミル、エキストルダーのツールで再加工できる。今日いって、明日できるものではない。仮に今日スタートしても、実を結ぶのは、10年先かもしれない。しかし、伝えなければ、永遠に門戸は閉じたままである。
ニュアンスは異なるが、親鸞や日蓮、または、キリスト教の使徒、宣教師と同じ感覚かもしれない。迫害を受けても、真理を伝える気持ちは同じである。それは、未来のためである。G-NEPを示さなければ、粉砕から、新たな一歩は生まれない。いくら、プロセスの異質性を言ったとしても、それがどうしたで終わる。人のエゴ、慣性や既得権があるため、新しいことなど、誰もやらない。しかし、従来できなかったものが、できるという可能性を示されたら、この国や、世界のカーボンニュートラルの目から、逃げることは厳しい。今までは、粉砕の世界の中にいたから、方便や口実が使えたのである。それが使えないとわかったら、人は新世界へと向かわざるを得ない。もちろん、固い酸化物の微細化には粉砕は必要である。しかし、高度な解繊、剥離、乳化、親和ゲル化の市場に対しては、まさに、門戸が開けられたところである。今、ずっと閉さていた門の隙間から、一条の光が差し込もうとしている。それを開けるのも、そのまま閉ざしつづけるのも、私が決めることではない。それは、研究開発、製造を託された人々が決めることである。30年後、私はもう生きていないだろうが、この世がどうなっているかである。定年が70歳まで延長されたら、今、40歳の人が最後にみる世界である。
2021年11月16日
美粒黒鉛ペーストの方が、単層カーボンナノチューブ/酸化グラフェンのナノカーボン乳化よりも導電性はいい。
黒鉛ペーストを作る前まで、単層カーボンナノチューブや酸化グラフェンは素晴らしいという錯覚があった。ナノカーボン乳化構造であれば、費用対効果は別として、単層カーボンナノチューブと酸化グラフェンで組み合わせたナノカーボン乳化がトップだと思い込んでいた。実際に、黒鉛と多層カーボンナノチューブで組み合わせたナノカーボン乳化よりも、圧倒的に単層カーボンナノチューブを入れた方がよかった。しかし、それには、条件が付いた。それは、黒鉛量<CNT量という条件である。この条件であれば、単層カーボンナノチューブ/酸化グラフェンのナノカーボン乳化が導電性に対してはトップであった。しかし、黒鉛量>CNT量であれば、すべてがひっくり返った。結果は、下記のスライドに示すとおりである。
導電性を支配する因子とは:
面が大きくて、層の薄い黒鉛が存在すること。
面と面とを接着させる導電バインダー、MWCNTが存在することである。
では、今まで、何が問題でそれを超えられなかったのか。
答えは簡単である。
粉砕する技術はあっても、解繊・剥離する技術がなかったことである。ツールがなかったからである。
もし、あったら、美粒黒鉛ペーストはすでに、この世に存在しているからである。実際は、BERYU SYSTEMはなかった。だから、粉砕側のツールの視点で物事ははかられていた。日本にも、中国にも、韓国にも、アメリカにも、ヨーロッパにも美粒黒鉛ペーストは存在していない。
ナノカーボン乳化は手段である。
黒鉛ペーストも手段である。
目的とは、BERYU SYSTEMを世界のカーボンを研究している人たちに、ツールとして提供することである。粉砕の呪縛から、解放されることである。
日本語がわからない人、海外で研究している人に、下記の分とスライドをコピペして、転送していただけたらと思います。
Before making graphite pastes, I had the illusion that single-walled carbon nanotubes and graphene oxide were great. I assumed that if it was a nanocarbon emulsion structure, aside from cost effectiveness, nanocarbon emulsification combined with single-walled carbon nanotubes and graphene oxide would be the top choice. In fact, the inclusion of single-walled carbon nanotubes was overwhelmingly better than the nanocarbon emulsification combined with graphite and multi-walled carbon nanotubes. However, it came with a condition. The condition was that the amount of graphite < the amount of CNTs. Under this condition, the nanocarbon emulsion of single-walled carbon nanotubes/graphene oxide was the best in terms of conductivity. However, if the amount of graphite > the amount of CNTs, everything was turned upside down. The results are shown in the following slides.
What are the factors governing conductivity?
The presence of a large surface and a thin layer of graphite.
The presence of a conductive binder, MWCNTs, to bond the surfaces together.
So what is the problem that has prevented us from going beyond this?
The answer is simple.
We had the technology to crush, but not the technology to defibrillate and exfoliate.
This is because we did not have the tools.
If there were, BERYU graphite paste would have already existed in this world.
In fact, there was no BERYU SYSTEM. Therefore, things were measured from the perspective of the tools on the crushing side. There is no such thing as a BERYU graphite paste in Japan, China, Korea, the US, or Europe.
Nanocarbon emulsification is a means to an end.
Graphite paste is a means to an end.
The purpose is to provide the BERYU SYSTEM as a tool to those who are studying carbon in the world. It is to be freed from the curse of crushing.
2021年11月15日
黒鉛ペースト、ナノカーボン乳化のそこ力。
塗料としてみたとき、だれも、有効成分が何%だとは考えない。溶液全体として、評価する。例えば、10%カーボン含有のものと、20%カーボン含有のものがあったとしても、塗った回数で、評価される。導電性塗料なら、2回なら2回、同じ面に塗ったとき、一定の間での抵抗値をみて、どちらが、導電性がいいか判断する。カーボン量が半分なら、倍厚塗りして、同じカーボン量だと考えるのが、普通だが、現場感覚であれば、そんなことは関係ないという感覚になる。2回なら2回ぬって、それでどちらが、導電性がいいか判断される。もし、同じような抵抗値だとしたら、10%の方が、より優れていると判断される。
下記のスライドをじっくりと見てもらいたい。ここに、明らかな差異がある。黒鉛、CNT、CMC、まったく、配合比は同じである。プロセスも全く同じ、圧力も、パス回数も同じ、ただ、違うのは、油が入っているか、否かだけである。(この場合には、低沸点の油(酢酸エチル)を使用している。)これが、ナノカーボン乳化の本幹である。この本質は、黒鉛をより剥離させる技術なのである。これは、美粒モジュールの勾配制御と不即不離の関係にある。それは、ナノカーボン乳化が機能するような組み合わせにしている。結果は、見てのとおり、圧倒的に、ナノカーボン乳化の方が優れている。種も仕掛けも本当にない。顕微鏡写真では、差異は見えないが、ペーストとしての、粘度がちがう。つまり、比表面積が違うということである。それは、剥離している黒鉛の数がちがうということ。つまり、薄い層で、面が大きく、剥離した黒鉛がたくさん、存在している。当然に、CNTの解繊具合がおなじなら、それだけ、密着性がUPしていることになる。それが、抵抗率が約半分、導電性も倍違うという結果になる。
黒鉛ペーストの主たるカーボンは、黒鉛である。特別な黒鉛ではない。濃度はちがうが、塗料としてみれば、単層カーボンナノチューブの導電性とこの黒鉛ペーストの導電性は同じか、この黒鉛ペーストの方が優れているという結果である。多層カーボンナノチューブも配合しているが、これは主剤ではなく、あくまでも脇役、助剤、導電バインダーとしての機能である。黒鉛と黒鉛を連結するものである。繰り返す、イノベーションを起こすものとして重要なキーは、つまるところ、2つしかない。
費用対効果があること。
量産できること。
現状、ネットをにぎやかすもの、現れては消えて、現れてきえる、陽炎のようなものは、この二つの条件を満たさないものである。効果があっても量産できない。つまり、生産技術がなりたたない。効果はある。しかし、コストがかかる。高すぎて、だれもが買えない。費用対効果がまるでない。
美粒黒鉛ペースト、費用対効果は世界一だろう。プロセスも100Mpa、2-3パスだけである。それほど、複雑なものはない。私は生きていないと思うが、20年、30年後の未来には、これが当たり前のようになっている。そう確信している。
下記のスライドのEX103が、油の入っているもの。EX107が入っていないもの。塗布して、乾燥すれば、ここに使用している油は水よりも低沸点だから、水とともに、油も揮発する。
2021年11月14日
美粒黒鉛ペースト、低抵抗、再現性、量産可能な技術
仮に、今日からスタートしても、末端まで、社会インフラが変わるまでに最低でも5年はかかる。普通は10年かかる。だらだらと、進んでいったとしたら、15年、20年はあっという間に経過する。
美粒黒鉛ペースト、これが導電性塗料としての、原形となるはずである。すべての原形はカーボンにある。しかし、どんなに薄くしても、導電バインダーがなければ、面としてつながらない。基本は、大きな面、薄い層の面、それを連結する導電バインダー、それで、低抵抗な塗料はできる。ものができても、それが、再現でき、量産でき、しかも、低コストでできなければ意味がない。
初期の段階は、試験機を並べても、対処できる。しかし、いずれ、それでは対処できない。この黒鉛ペーストは、やはり、100Mpaぐらいを数パスかけなければ、ものができない。高圧分散機を扱っている私からみれば、100Mpaなど、大したことはない。すくなくとも、140Mpa以上の圧力で運転すると、負荷は指数関数的に増加する。したがって、100Mpaぐらいなら、今の技術レベルからすれば、大したことはない。そう、それは大したことではない。しかし、それは、それを慣用的に扱う人からみれば、そうであるが、その土壌がない人からみれば、それは、大変なことである。
残念ながら、日本には高圧ポンプ技術がない。私は、中国の高圧ポンプ技術水準を知らない。しかし、民生用の用途がないから、日本と同じぐらいのレベルだろうと想像する。私が知っている限り、その最高技術を持っている国は、アメリカである。今の日本の高圧ポンプ技術を例えるなら、1941年12月7日の日本の国力と同じといってもいい。その日は何かといえば、真珠湾攻撃の前日である。4年後、1945年が8月6日、一発のピカドンで日本の国体は吹っ飛んでしまった。そのぐらい潜在的な差異がいまでも存在しているということである。
アメリカは一兆ドルの予算法案を、インフラ関連再構築のため、通した。インフラ用電池、蓄電、放熱、電磁波シールド、抗腐蝕、補強、すべてに、黒鉛ペーストは関与してくる。もちろん、これは原形である。用途の細分化に、いろいろな処方検討がされるはずである。しかし、そのベースは何かといえば、高圧ポンプ技術を用いた生産技術の確立が、重要になるということである。原料は、簡単なもので、代替品がどこにでもある。分散技術も、今は美粒が供給すればことは足りる。高圧ポンプ以外の分散するプロセスは、壊れないから、慌てる必要もない。いずれ、分散プロセスのハードもソフトも、常識となる日がくる。しかし、製造の生産技術は、一朝一夕にはいかない。熟成する時間と試行錯誤による技巧の習得というものが必要になる。
日本で、それを予見できる人はほとんどいない。ツールは当たり前にあるものだと錯覚している。現状のツールでできるものは、もう出来上がっている。飽和している。そこからは新しいものは出てこない。できるものなら、もうできている。できたとしても、コストが合わない。砂上の楼閣、蜃気楼でしかない。
未来が必然的に存在するならば、この黒鉛ペーストの技術は、どこかで使われ始めるはずである。それが、この国なのか、中国なのか、それともアメリカなのか、私にはわからない。未来があるなら、この世の因果として、何かが動き出すはずである。未来を神がつくりだすのなら、神の意志が見えざる手として動くと感じる。
2021年11月8日
カーボンの王道は、やはり、黒鉛にあり。
カーボンの王道は、やはり、黒鉛にある。面の大きくて、層の薄いものが、沢山ある状態がベスト。比表面積がUPした状態である。黒鉛の一つの面粒子、その面と面との間が接点となる。普通にしていれば、その接点が抵抗となる。その接点数が多ければ多いほど、抵抗が増える。導電性を上げるためには、圧縮するしかない。しかし、割れが生じたり、電池のように多く活物質を入れるためには、その中に空域がなければしょうがない。そのためには、黒鉛と黒鉛とをつなぐために、導電バインダーが必要となる。市販の黒鉛ペーストには、導電性バインダー(ポリマー)が配合されている。酸性を示すから、いろいろと何かとまぜるのに、制約がある。黒鉛に対して理想な導電バインダーなのが、CNTなのである。解繊されたCNTは凝集する。したがって、剥離された黒鉛に吸着したCNTは、CNT通しが絡みつく。それと同時に黒鉛と黒鉛とが接続する。導電パスがつながるということである。それが美粒黒鉛ペーストに強い導電性がでる理由である。黒鉛ペーストには、導電バインダーとしてのCNT、黒鉛やCNTを分散させる分散バインダー(CMCやCNF等)が必要となる。
ナノカーボン乳化とは、黒鉛をより剥離させやすいようにするプロセスでもある。水となじまない液状溶質は、黒鉛と吸着する。油が微細になると同時に、黒鉛が剥離される。CNTも同時に解繊されるから、解繊されたCNTは黒鉛に吸着する。出来上がった分散体を放置しても、油はでてこない。それがナノカーボン乳化プロセスである。水より低沸点の液状溶質を使うから、水が揮発すれば、油も同時に揮発する。だから、中にカーボンだけがのこる。厳密にいえば、CMCも残存するが、分散するのに、分散バインダーが必要になるからしょうがない。なくてもいけるが、解繊状態がわるくなるので、逆に導電性は悪くなる。世間では、分散バインダーが邪魔して、導電性を悪くしていると勘違いしている人がいるが、実態は、分散バインダーがなければ、解繊不十分で、導電性がでないというのが真実である。
処方がわかっても、それを通常の高圧分散装置にかけても、まともなものはできない。それに適したシステムを組まないと意味がない。黒鉛が割れたら、意味がない。CNTも解繊しなければ意味がない。折れて、微細化されたら、意味がない。導電バインダーとしての機能がでない。ナノカーボン乳化を作るには、それに適したプロセスが必要である。乱流の制御である。導電性は、粘度と分散性との最大公約の場として現れる。粘度があっても、ぼそぼそではNGであり、粘度がでなければ、比表面積がUPした状態とは言えない。今後の二次電池の電極スラリーの性能を決めるのは、このナノカーボン乳化をどう生かすかにかかっていると思っている。ここは、まだ、未知数。だれも、踏み込んでいない新しい分野である。プロセスとプロダクトが乱れの制御の中でひとつに融合する。カーボンニュートラルのひとつのキーになるはずである。
2021年11月7日
美粒黒鉛ペースト、費用対効果をもとにして、導電性で単層カーボンナノチューブを抜く。
溶媒を含んだボリュームとして分散体やペーストをみれば、明らかに、美粒黒鉛ペーストは、単層カーボンナノチューブの分散体を導電性でぬく。美粒が作った単層カーボンナノチューブ分散体でも、1%を解繊すれば、粘度があがり、これ以上、配合することは厳しくなる。美粒黒鉛ペーストを塗料としてみれば、電池、蓄電、放熱、電磁波シールド、抗腐食剤としては、画期的なものである。
すべてを、謎解きをして、このようなもので、こういう組み合わせでつくっていると人に見せても、たぶん、その人は、次の応用ができない。なぜなら、プロセスを構成する原理が理解できないからである。
作り方は至極簡単である。黒鉛ペースト、原料を一つのビーカーにいれる。簡単な手攪拌で十分である。つまり、量産になっても、簡単な攪拌でいいということである。数千円で売っている電動ドライバーの先に装着できる攪拌羽根、数千円で売っている。10リッターぐらいなら、それで十分である。そのあと、美粒モジュールで前処理をして(原則、1パス)、中間処理を1パス、そして、ノズル+美粒モジュールで、100Mpa 2パスである。中間処理を足して、3パスとしている。実に、簡単である。
ただし、ここで使われるMWCNTに制限がつく。現状、使えるのは、コバルト触媒の廉価なMWCNT(メーカーは問わない、ほとんど問題はない)と一部の鉄触媒が混入されないプロセスで製造しているMWCNTだけである。あくまでも支配因子は黒鉛とプロセスの減圧勾配要件である。プロセスの減圧勾配要件というのが、乱流制御ということになる。材料系を扱っている開発・研究者には、理解できない世界である。ツールの差が、これほどの結果の差になるとは、今までの学習経験の中にないからである。
黒鉛は、できるだけ大きな面をそのまま維持して、層を薄くした方がいいという経験値は存在する。しかし、面が大きいものを、単に剥離しようとしても、粉砕がはいるから、面がわれて、微細になる。それと同じ現象が、CNTの解繊にも表れる。解繊しようとすれば、CNTは折れて、アスペクト比が悪くなる。これは、矛盾なのである。だから、現状の導電性として、最高なものが、どこにあるのかといえば、下記のスライドのSPの値であり、その顕微鏡写真で見られる解繊具合なのである。鉄触媒が混じって、なかなか普通は処理できないが、いろいろと工夫をして、ここまで対処している様子がわかる。しかし、たぶん、市場としては受け入れられない。なぜなら、費用対効果がでないからである。単層カーボンナノチューブとしての用途はあるはずである。相当、ハイエンドスペックな、それ以外では機能しない用途なのだろう。素人の私が立ち入る世界ではない。美粒黒鉛ペーストに、単層カーボンナノチューブの分散体をまぜて、それで費用対効果がでるのであれば、それはそれで何も問題はない。
美粒黒鉛ペースト、一つの形はできた。美粒が経験した中で、溶媒を含めたカーボン分散体の中では、対ボリュームに対して、もっとも、低抵抗なものであり、もっとも、費用対効果のあるものである。あと、何か添加するものがあれば、それは、そのあとの専門家の仕事である。水系から溶剤系に置換したければ、乾燥させて溶媒の中で再分散させればいい。基本的に、ナノカーボン乳化プロセスでつくっているから、剥離した黒鉛の面に解繊されたMWCNTがついているから、再分散は容易である。乾燥時、空孔率が80%あるから、溶剤であれば、張力が低いから、簡単に含侵し、再分散する。どのような最終系にまとめるのかは、美粒黒鉛ペーストをどう扱うか、用途用途の専門の技術者や開発者のセンス次第である。
もちろん、材料系の処方や組み合わせで、粘度や密度を調整して、粉砕系の装置の乱れを制御させることも可能である。これが従来の一次変数的分散手法である。粉砕系の装置をいろいろと変え、可変できる材料系の範囲の中で、最良なものを選ぶというやり方である。それは、もう飽和したと思っていい。美粒はいろいろと情報を出しているから、国内では、それを模倣している装置もでてきている。しかし、根本的に、欠落しているのは、経験値である。どういうものに対して、どうしたらいいのか、だれもわからない。教科書がないからである。美粒が、開示しない限り、その相関も見えるものではない。紙でこうだと書いても、実際に、体験して、納得しない限り、絵にかいた餅に終わる。装置だけ、みせて、こういうものだといっても、ほかの装置と何がちがうのか、上層部は理解しない。乱流を制御しているから、ツールは壊れない。世界を変えるのは、ツールを変えることだと思っている。黒鉛ペーストを世に見せることで、それを作っているツールの重要性をわからせることにある。
地球温暖化の要因は、無駄なエネルギーを放出していることだと私は思っている。社会の利便性を考えれば、新しいものを生産する必要がある。エネルギーコストを下げることは、無駄なエネルギーを排除することである。それが乱れの制御である。半分以下のエネルギーでよりいいものができればその方がいい。そのいい例が、美粒黒鉛ペーストである。もう、馬鹿げた装置で、ものをぶつ壊して、それで物を作っても、未来はない。それ以前に、地球温暖化で、地球がパンクする。
もちろん、美粒黒鉛ペースト、簡単にできたわけではない。材料系からのアプローチとともに装置側からのアプローチもあって、その二変数の組み合わせの中で、できあがったものである。EX104というのは、去年の4月から始めた実験番号である。104の実験の中で、数回、再現実験をしたのを除き、全部異なる。それが頭の中に入っている。104のデータをみて、なるほどと思い、最終104の実験を選んだ。今日現在、103と104とが、最良としてみている。103と104の違いは、MWCNTの製造会社の違いである。ほとんど差異はなかった。下記のスライドのEx56は、DMRを使用して、金属触媒を除去して、SPと同じ単層カーボンナノチューブを解繊したものである。カーボンの濃度さが、同一でないので、直接比較はできないが、これと同じくらいの導電性があるのが、黒鉛ペーストということである。EX103のデータは、下記のスライドに乗せていない。
2021年11月4日
黒鉛ペースト、膨張化黒鉛+MWCNT(注)ナノカーボン乳化法 Through 美粒システム
費用対効果としては、世界一、カーボン濃度8%、(黒鉛/MWCNT =3:1)鉄の錆びを防ぐ抗腐食塗料である。
鉄橋、高速道路、高架鉄道、そのつなぎ目は、鉄である。それが、塩害、酸性雨で、塗料がはがれ、鉄がボロボロになる。アメリカも中国も日本もヨーロッパも、つなぎ目がボロボロになっている。インフラの危機である。鉄が腐る前に、抗腐食塗料で補強する。すべて、土に変えるものである。環境を破壊する要素はない。黒鉛は神様からの贈り物と言われている。
注、kg数千円で売られているMWCNTで充分美粒システムが通るMWCNTなら、すべてOK。重要なのは、黒鉛のスペックである。
美粒の評価基準で、抵抗率0.1△Ω/△cmを満たすのは、MWCNTに関係なく、黒鉛(A)だけである。黒鉛の品質が重要になる。
Ex22と同等品をさびが浮いた鉄板にぬり、その上にコーテングし、それを2年間、沖縄の海岸に設置。2年間、腐食はない。確認済み。EX90以降の黒鉛ペーストはそれ以上のもの。黒鉛ペーストが抗腐食塗料として機能する。
地域によって、条件は違う。それぞれの国や地域での事情を鑑み、国境を越えての今後の研究開発を望む。世界のインフラを守るためである。
黒鉛ペーストからみる、ナノカーボンの実態。
黒鉛濃度1と記載されているものと、CNT解繊分散体とは、ほぼ同じ抵抗率とみていい。
黒鉛Aと黒鉛AAの違いは、製造会社がことなり、同等の規格品である。
黒鉛Aと黒鉛AAAは、製造会社は同じで、種類が同じでサイズ違いである。
MWCNTとMWCNT(B)は、触媒の種類がことなり、製造会社が異なる。
MWCNTとMWCNT(B)は、触媒の種類が同じで、製造会社が異なる
黒鉛濃度が、1と記載されているのは、黒鉛とCNTの比率が、1:2であり、CNTがリッチなものである。支配因子はCNT側にある。導電性は、美粒の評価基準だが、CNTの特性に影響される。当然に、EX29の単層カーボンナノチューブが配合されているのが一番いい。CNTが現状、使えないのは、鉄触媒に起因する。無理して使うには、粉砕するしか方法がない。EX29の写真のような長さなどない。折られるから、アスペクト比がでない。費用対効果がでない。同様に、鉄触媒のMWCNTも実質的には使えない。それを解消したのが、美粒DMRモジュールであるが、それは小スケールではいいが、生産量が増えるものに対しては、生産技術的に不利である。プロセスが複雑になるのは、コストアップになるので、避けた方がいい。ここで使用したのは、DMRなしで、美粒システムが通るCNTである。コバルト触媒の廉価なMWCNTである。それと、鉄触媒が混入されないプロセスで作られたCNTである。
酸化グラフェンや剥離した黒鉛だけでは、導電性はでない。導電性バインダーがないからである。その機能を果たすのがCNTである。面の大きさがある、欠損の少ない剥離した黒鉛に、解繊されたCNTがどう絡みつくかが、重要である。従来の手法は、粉砕・破壊するだけであるから、黒鉛は割れて、微細化、CNTも折れて微細化、カーボンブラックと殆ど変わらない。だから、何も進歩しないのが実態である。導電性ポリマーもあるが、強い酸性をしめすから、高圧乳化装置のシリンダー部、基本的にSUS630を使用するため、それを腐食させる。だから、導電性ポリマーをまぜて、高圧分散させるには、それなりのリスクがある。当然に、酸性を示すから、材料として、使うには制限を受ける。
美粒の評価基準だが、抵抗率(グラフでみる傾き、距離と抵抗値との傾き)が0.1前後になるのは、鉄触媒をDMRで除去したSWCNTが入っているものか、黒鉛(A)、ある企業の膨張化黒鉛であるが、それに、美粒システムが通過するMWCNTを組み合わせしたカーボン濃度が8%前後ある黒鉛ペーストだけである。あきらかに、支配因子は、黒鉛側にある。いままでは、粉砕していたから、黒鉛の特性など、あまり、鑑みない。しかし、電池、蓄電、放熱、電磁波シールド、抗腐食、増強等を、考慮した時、黒鉛の品質と仕様とが、キーとなる。黒鉛は神様からの贈り物と言われている。その贈り物を活かすために生まれたのがCNTであり、美粒の分散システムである。地球温暖化阻止、インフラ保護、これは国境をこえて、人類の未来のために、使われるべきである。
2021年10月29日
ナノカーボン乳化手法でつくる黒鉛ペースト、空孔率80%とは
顕微鏡写真をみてもらえれば、顕微鏡の光源が透過する黒鉛の影をみることができる。層があつければ、光は透過しない。黒くなるだけである。15ミクロン前後の相当剥離した黒鉛が多数見える。黒くなっているのは、重なっているところである。黒鉛とCNTとの比率は8割以上が黒鉛である。それが全体の8%の濃度である。ほぼ、CMCのバインダ―もあるが、液体成分が揮発した乾燥後は、殆どがカーボンの塊になる。黒鉛の比重は2.2である。1cm3の重さが2.2gということになる。黒鉛ペーストを下記のスライドのように四角状に乾燥させると、11.55cm3の大きさになる。その重さが、4.67gである。比重1の水なら、4.67cm3(cc)である。比重2.2なら、カーボン単体なら、2.12cm3になる。しかし、実態は、11.55cm3となる。この塊がぼろぼろとおぼれるのなら、カーボンの粉を固めたのと同じであるが、石のように固いものである。その中にあるのが、空孔である。80%の体積をしめているということである。そして、驚くべき低抵抗である。
厚紙にカーボンをぬって、抵抗を調べている。幅は2.75cmのものである。実験90でぬったものがある。実測から、抵抗率を調べてある。塗った厚みを測れば、0.3mmである。抵抗は、断面積に反比例し、長さに比例する。空孔率が80%というのは、カーボンはその中に20%しかないということである。だから、その厚みの中に空洞があることになる。カーボン全体の厚みは、0.3mmの20%しかない。つまり、0.06mmということになる。それで、計算すると、導電率は、62804 S/mである。これは驚くべく値である。
空孔率が高いということは、カーボンの比表面積も高いということである。しかも、かなりの低抵抗である。それが理想とされているのが、スーパーキャパシタである。電子が蓄積する空間がおおく、効率よく、電気が流れるからである。そして、電磁波シールドである。80%の空洞部で電磁波は吸収され減衰される。もちろん、強度とガス発散等を考慮して、添加剤を加えれば、次世代の空気二次電池のカーボン電極となる。すでに、活物質が内包されているのであるから、そのカーボンに外部の空気を入れ込む工夫をすれば、完全なエコになる。
もう、おそいかもしれないが、強いバインダーをまぜて、強度をもさせてやれば、福島の汚染水の除去に使えるはずである。基本的にカーボン材、環境になにもわるいものはない。その空孔の中に、放射能成分が吸着するはずである。私は偉い学者ではなく、素人であるが、その黒鉛ペーストの中に、無限の力が宿っているような気がしている。
2021年10月26日
空気二次電池への糸口。ナノカーボン乳化でつくった美粒黒鉛ペースト
この黒鉛ペースト濃度、なぜ8%かというと、それ以上濃度を上げると、最後でアウト、ポンプに定常的にはいらなくなる。比表面積があがり、粘度があがるからです。常に、結果から、帰納して、前段を決めるしかありません。前から、積み上げていっても、結局、うまくいきません。ここで使用した装置はBERYU MINIです。MINIの運転条件はある意味、最悪の設定となっています。少量できることを、前提としていますので、チャッキ弁での制約、ポンプ吸引での制約、とくに、粘度や密度に関して、上限が決まってきます。逆に、量産装置は、送りポンプがつき、プランジャー径も大きく、MINIよりは、制約条件は緩和されます。後は、モジュールでのプロセス条件だけとなります。したがって、MINIでできるということは、生産技術的には、楽な方向へと向かいます。きちんと、分散プロセスさえ、何がキーかわかれば、難しいことはありません。いままでは、その因果律が見えなかったから、出たとこ勝負となって、分散剤にたよったり、楽な粉砕―分級の分散方法を選んでいたわけです。そのプロセスの因果律、それが分かったら、あとは経験則でなんでもできます。ですので、この論理が世にひろまれば、早いもの勝ということになります。下記のスライドに書いた、ブルーオーシャンを求めるなら、早くやれ、早いもの勝というのはそのことです。
なぜ、素人の私が、ここまで踏み込んだものができるのか、答えは一つしかありません。乱れを制御して、不確定条件をプロセスからシャットアウトしたからです。そうなれば、いままで、乱れの中、ノイズの中でかき消されていた、分散の因果律が見えてきたということです。結果がすべてです。どんな屁理屈をこねても、結果を出せないものは、淘汰されます。情報ネット社会、できるものは、もうできています。レッドオーシャンの中で、利益を出すことはすでに、困難です。もはや、リチウム二次電池の限界は見えています。水素利用で電気を作り出すことにも、限界があります。キーになるのは、比表面積の増加と低抵抗率です。可能性があるのが、空気二次電池です。今日、明日できるものではありませんが、5年後、10年後の未来には必ず必要になるものです。温暖化を阻止するには、根本を変えるしかありません。ナノカーボン乳化でつくる黒鉛ペースト、基本的に、多孔質のカーボン材です。すでに、空孔という活物質を内包しています。後は、どう空気を取り入れ、カーボン材の強度と撥水性、ガス拡散性をあげるかです。これも、カーボン分散液とPTFE分散液等との濡れ性をあげ、均一分散させることになるはずです。現在も、燃料電池や空気二次電池は、世界で研究されています。ですので、そのカーボン電極のひとつのピースを供給するだけで、いままで解けなかった燃料電池への道筋が見えることもあります。
この黒鉛ペーストは、費用対効果を重要視しています。黒鉛濃度を可能な限り上げています。塗料としてみれば、カーボン濃度が高いほうが性能はでますし、費用対効果がでます。ナノカーボン乳化であれば、黒鉛とCNTの比率は任意です。CNTの比重をあげれば、黒鉛濃度は下がります。CNTの方が材料費は高いので、それだけ付加価値が要求されます。単層カーボンナノチューブを入れた方が、カーボンの強度とシート性と導電性はUPします。金属ペーストや導電性ポリマー以外の分散液とまぜれば、かならず、抵抗は上がります。ですので、ベースは低抵抗の方がいいという事になります。コロナで中国やアメリカとの往来は制限されています。ですので、日本がこの分野で再びリードすることは可能です。しかし、この国はガラパゴス化が好きなので、どうなることかです。ノーリスク、ハイリターンなど、もうあり得ないことですが、それを考えていると、戦艦大和のように洋上で撃沈されてしまいます。
2021年10月24日
分散の基本は、濡らして、解繊、剥離、乳化、粉砕、解砕。濡らさないで、粉砕するから、すべてが壊れる。(後世に残す言葉)
濡らすのに、最適なのが、美粒モジュール、それがプロセス特許の本質。
エネルギーをあげれば、必ず、乱れる。水であれば、100度で沸騰する。人は、勝手に錯覚する。圧力をあげたり、回転数をあげれば、物は細かくなるだろうと。それでいいものもある。しかし、大半はそうではない。
核分裂を制御するから、原子力発電になる。しかし、制御せず、そのまま、核分裂の連鎖を放置したら、原爆となる。原爆は、戦争という殺戮での憎しみの連鎖から生まれたものである。
人間のエゴを制御しなければ、人殺しの世界となる。エゴを制御し、社会生活を成立させるのが、法の精神でもある。アメリカはキリスト教の精神、日本は道徳感、中国は共産党の理念で人の乱れを抑える。
分散もまたおなじである。力を加えなければ、何も生まれない。エネルギーを加えたら、必ず乱れる。それをそのままぶつけたら、破壊になる。分散相が固体なら、どのように内包する空気を排除して(濡らすこと)、力を加えて、濡らして分散(解繊、剥離、溶解ゲル化、解砕、粉砕)させるかが重要になる。それが乱れの制御の本質。残念ながら、これを理解できる人がいない。なぜなら、それを具現化し、制御を可変化できるツールがなかったからである。
それを理解したうえで、回転数をあげるならいい、圧力を上げるならいい。ピカピカにして、タッチパネルをつけ、もっともらしい論理で世間をごまかしたらいい。しかし、世の中は、それでは変わらない。性能があがるのは、粉砕して分級するからである。エコロジーといいながら、実態はエネルギーを上げている。EV車をつくっても、EV車を構成する部品を作るエネルギーがふえれば、トータル的には、地球温暖化が加速する。世間の人はそれを知らない。
美粒黒鉛ペースト、カーボン濃度8%、導電性はトップである。重要なのは、それを作るエネルギーなのである。100Mpa 3パス、逆に、それでできるようにしたのである。それが費用対効果なのである。超性能のセラミックコンデンサー、それをつくるのに、180Mpa、30-40パスを繰り返す。固いものだから、それが効く。同じ論理でカーボンを処理したら、木っ端微塵で、導電性などでない。
黒鉛ペースト(金属触媒レスの単層カーボンナノチューブ入り)、空気二次電池の多孔質のカーボン電極の可能性。
黒鉛ペースト、金属触媒レスの単層カーボンナノチューブを入れて作る。単層カーボンナノチューブが入っているから、シートになりやすい。SWCNTを入れた分、ネットワーク構造ができる。ナノカーボン乳化構造である。油が低沸点の油を使用する。当然に、水とともに、揮発する。だから、多孔質のカーボン材ができる。エネルギーは、100Mpa 3パスである。これほど、費用対効果のあるものはない。アプリケーションとして、可能性があるのが、燃料電池、空気二次電池のカーボン電極である。多孔質ということは、空孔がある。それが空気二次電池の活物質でもある。あとは、カーボン材の強度補強と、外部からの空気をこのカーボン材に取り入れられるようにすれば、次世代の燃料電池の完成である。金属側はアルミニウム、マグネシュームである。最終系には時間がかかるが、費用対効果の提示、低抵抗の多孔質カーボン材(世界最高と自負している)の提示、それらを研究開発側に行えれば、砂丘に水を撒くように、実用化へと舵がきられる。山頂にある巨大な石をすこし動かせば、慣性と位置エネルギーで巨大な石は坂を転がり落ちる。重要なのは、生産技術が成立すること。費用対効果があること。それが、決して、蜃気楼ではないこと。現実なものとして、再現可能だという事実が存在することである。
カーボンの主材料は、土に眠る黒鉛である。資源が枯渇することはない。金属触媒レスの単層カーボンナノチューブは、高価だが、用途があれば、価格は、あっという間に下落する。
2021年10月19日
美粒ウルトラ導電性黒鉛ペースト、分散プロセスの重要さ
ウルトラ導電性黒鉛ペースト、一般SWCNT(単層カーボンナノチューブ)分散液、一般黒鉛ペーストを、乾燥させて、そのシート具合を見る。
基本的に、水の中に分散しているものを、乾燥させれば、凝集してバラバラになる。粉体となる。しかし、単層カーボンナノチューブがきれいに解繊されていれば、それなりのシート状になる。多層カーボンナノチューブだけであれば、凝集体の虫食い状態のものができる。面の大きな、層の薄い黒鉛と解繊されたMWCNT(多層カーボンナノチューブ)であれば、もろくても、シート状のようなものができる。低抵抗であればあるほど、ネットワークが構成されているため、それなりのシートができる。ある意味、このシートのでき方で、導電性の良しあし、均一性ぐあいがわかる。
乱れを制御した最適化された分散システムによって作られた単層カーボンナノチューブの分散液>乱れを制御した最適化された分散システムによって作られた黒鉛ペースト>粉砕―分級のロジックで分散された単層カーボンナノチューブの分散液ということになる。
分散プロセス次第で、膨張化黒鉛/コバルト触媒多層カーボンナノチューブの方が、単層カーボンナノチューブよりも、導電性が勝るのである。
粉砕―分級の分散プロセスが、当たり前だから、差異がでない。CNTが折れていても、黒鉛が割れていても、欠損が発生していても、すべてがそうだから、それが当たり前になっている。折れた多層カーボンナノチューブの方が、割れている黒鉛よりも優れているから使うのである。折れた単層カーボンナノチューブの方がいいから、それを使うのである。乱れを制御して最適化されたプロセスで処理すれば、黒鉛/多層カーボンナノチューブの方がいいのである。黒鉛/MWCNTと単層カーボンナノチューブ、コストは二けた違うのである。これからは、カーボンニュートラルの時代、費用対効果こそ、もっとも重要視されるファクターである。いくらいいものを作っても売れなければ話にならない。
2021年10月18日
カーボン剤の実態。何が導電性に寄与しているのか?プロセスの重要性、すべてに対して乱れの制御こそがキーワードである。そこを認識した会社は世界を征する。カーボンを勉強する学生や研究者に、「いままで、何が問題だったのか」を提示する。
下記のスライドを虚心坦懐に見てほしい。物事を俯瞰的見られる人なら、わかるはずである。濃度の違い、密度の違い、費用対効果で、一概に何がいいかなど、いえないが、相対的に導電性だけをみたら、下記のとおりである。若干の相違はあるが、同一規格面において塗布面の距離と抵抗値との傾きをみれば、それが相対的な導電性の差異として認識できる。
酸化グラフェン水溶液、黒鉛ペーストは、市場にでているものでの最高品だと認識している。また、市販されているSWCNT分散液と同等なものを、美粒とは異なるプロセスで作成した。顕微鏡観察、抵抗値をみても、ほぼ同じであった。それを基準にした。
酸化グラフェン水溶液と黒鉛ペースト、圧倒的に黒鉛ペーストの方が導電性はいい。何がちがうのか、面の大きさである。黒鉛の導電性は、自由電子の移動によるものである。移動は、欠損がすくない黒鉛面をいく。黒鉛の層間の移動はない。CNTでの移動は、チューブの外周をいく。これも、欠損がすくないCNTの方が電子は通りやすい。問題は、接点である。1m2の面に一枚の欠損のない黒鉛面があれば、接点は0である。しかし、このようなことはない。かならず、黒鉛なら黒鉛面と黒鉛面との接点、CNTなら、CNTの点と点との接点がある。そこには必ず抵抗がある。空気は絶縁だからである。その接点と接点とのつながりを導電パスという。導電性をあげるには、導電パス数を少なくしたほうがいい。銅線で考えたらいい、銅線一本と100本の束、どちらが、電気が通りやすいかである。常識でもわかる。それが密度の問題である。黒鉛に関していえば、層の薄さになる。体積としてみれば、同じ面をもち、厚みが1/10のものと、10倍のものでは、そこに電子の通り道が100倍違うことになる。厚みが100のところに、厚みが100のものなら、一個、厚みが1/10なら、100個ある。CNTも同じである。長さが同じなら、径の細い方がたくさん入る。それだけ、電子の移動が多くなる。あくまでも抵抗は、カーボンの欠損状態、それと導電パスの数だけである。欠損がおおく、導電パス数が多ければ、材料が同じでも、抵抗は増加する。
面の大きい薄い面をもつ黒鉛だけでは導電性はでない。密着性がないからである。導電パスの抵抗が大きいからである。密着させるには、圧着させることも一つである。それができなければ、導電性のバインダーがいる。そのメインの役目がCNTである。CNTはひもと同じである。だから、必ずゆらぐ、それが凝集の基本である。CNTは最大の導電バインダーである。しかし、凝集する。だから、CMCやCNFのような分散効果剤が必要になる。当然に、なければ、CNTが凝集して解繊不良になって抵抗値があがる。もちろん、量がふえれば、抵抗値が増えてくる。分散効果剤はCNTを使うには必ず必要になる。どこかで、最適な量が存在する。少なくてもだめ、多すぎてもだめ、そのさじ加減が重要になる。もちろん、そのバランスとプロセスの適正さとも関連する。
MWCNT分散と市販の黒鉛ペーストの抵抗値、MWCNTと黒鉛どちらが、導電性がいいか、この場合は黒鉛になる。導電パスが少ないからである。層の薄い酸化グラフェン水溶液はどうかといえば、面と面とのつながりがない。それに、導電性ポリマーをいれたが、すこし抵抗値は下がったが、それほどのことはない。圧倒的に強いのは、CNTである。
美粒黒鉛ペーストを見ていただければいい。レシピは簡単である。膨張化黒鉛、たぶん、市販の黒鉛ペーストと黒鉛は同じである。黒鉛ペーストにもCMCは使われている。顕微鏡写真をみれば、ほかに何か添加剤があるように見えるが、そこまでは詮索しない。あとは、実験番号61で使われているMWCNTである。ほとんど、市販で手に入るもので、特別なものはない。抵抗値をみたらいい。SWCNT分散体よりも勝っている。スタートの抵抗値がほぼ同じで、傾きがちがう。それが何を意味するかは、学生でも理解できる。
では、決定的に何がちがうのか、プロセスが違うのである。材料系を扱う大学も研究機関もプロセスなど、理解しない。最新式の高価な装置を選ぶ。他でつかっているからという理由である。CNT解繊や黒鉛の剥離粉砕には、高圧乳化分散機やビーズミルを使うのがトレンドのようである。しかし、ほとんどの原理が、粉砕―分級の論理で作られている。毎日、毎日、実験装置を動かしても、結果は、ほとんどおなじである。ブレイクスルーなどない。なぜうまくいかないのか、粉砕―分級の論理でプロセスを作っているからである。CNTならおれている。それは顕微鏡をみればわかる。しかし、ほとんどの人が見えないのは、表面の欠損状態なのである。処理後、ボロボロになっていることに気づかない。気づいてもどうしたらいいかわからない。だから、何も生まれない。
美粒黒鉛ペースト、ツールさえあれば、だれでも作れる。素人がこのようなものをつくりあげた。これは従来、研究開発している人にとっては脅威である。このツールの考え方にある乱れの制御、これを理解すれば、だれでも、次のステージに行ける。しかし、人はエゴをもつ、従来の手法に固執しているかぎり、乱れの制御など、理解しない。理解しないのではなく、それを受け付けない。従来の粉砕―分級の論理にしがみつく限り、新しいものはでない。でないのでなくて、すでに、出尽くした。飽和しているからでないのである。
従来の技術であれば、低コストの国でつくるのが、一番である。だから、中国が一番ということになる。高圧ポンプに関して、アメリカの技術は最高である。しかし、分散技術は最低である。発想が、粉砕―分級にあるからである。中国は、単に売れる商品をやすくつくる方法を模索している。非常に実利と理智に優れている。日本は、いつの世でも外圧がなければ変わらない。黒船やピカドンである。粉砕―分級の論理がなりたつのは、酸化物の粉砕だけである。解繊、剥離、乳化は、乱れを制御してはじめて、美しさが分散の中に現れる。装置は、動かなければ、ガラクタである。さらに、愉快なストリーが成り立つ、CNFをつかって、導電黒鉛ペーストをつくる。土に眠る黒鉛と樹木から生まれるCNF、カーボンニュートラルには、最高の組み合わせである。
CNF配合の黒鉛ペースト、導電性はすこしおちるが、それでも十分である。CNFがあるから、樹木のしなやかさがでてくる。CNFが配合されているEX87の紙、本当にしなかがである。まさしく、土の中に眠る黒鉛、土のなかから生まれる樹木、そこから生まれるCNF、カーボンとCNFの融合こそ、カーボンニュートラルのあり方だと考える。
2021年10月5日
4つのスライド、公開。日本が生き延びるヒント
唯一、日本で生まれた国産の分散技術から生まれたナノカーボン分散
圧力、100Mpa 3パス BERYU MINI 使用。これが、どれほど、生産コストが安いか、殆どの人は理解できない。なぜなら、わからないからです。圧力100Mpa、3パス、これがどれほど、簡単か。やったことがなければわからない。
この技術は、まだ、他国には、渡っていません。なぜなら、まだ、誰にも、美粒モジュールの中身と作り方を教えていないからです。したがって、他の国の人が作れる世界は、1番と11番のものだけです。美粒の装置が入っている所は、これを実感しています。この中でも、生産技術的に困難なものがあります。日本が勝てるか、負けるか、配合(プロダウト)と装置条件との組み合わせ(2変数)の中で、最適条件を見つけられるかどうか、最大の費用対効果を生める条件を探り当てられるかにかかっています。繰り返します。粉砕と解繊と剥離と乳化は、まったく異なるものです。プロセス条件が異なります。そこを理解している人は、世界にもほとんどいません。
CNFリポソーム
同じ、100Mpa 3パスでも、
①リポゾーム=CNFエマルジョン、スメクタイトエマルジョン(活性剤フリーエマルジョン)
➁ CNT解繊、ナノカーボンエマルジョン
➂ 黒鉛剥離
美粒モジュールが異なる。外見は同じに見えるが、中身は完全に別なものである。
最適化できるから、CNFリポソームが100Mpaで簡単にできる。150Mpa、200Mpaをかけたら、機械が壊れる。付加価値がつかなければ、実際は生産できない。高圧乳化分散機の本質的な問題は、130Mpa以上、圧力を上げようとするからである。
プロセス条件は組成条件で可変する必要がある。実際には、それぞれの装置で固定されている。何か、そこに論理があるのか。そこに論理などない、設計者が適当に作っているだけである。そこに初めて、ロジックを持ち込んだのが、美粒システムである。そのプロセスの根本の考え方が美粒の特許の本質となっている。美粒DMRモジュールもそこに含まれる。だから、CNTが解繊できる。ここを、理解している人はほとんどいない。
美粒システムのプロセス側の変数、範囲
美粒システムは、一つのロジック、一つの思想からなりたっている。その全体を貫く主旋律は、エネルギーを高めても、美流をつくりだす。それは、乱れを制御し、組成側がもつ機能を最大限に引き出すこと、それを実現するために、どれだけ最短の道(低コスト)で、美粒システムを作り出すかということである。いずれ、私の命も終焉を迎える。未来のために、そのロジックを構成する美粒システムをコーチングする。それにより、ユーザー側に、プロセスを組成側に応じて、最適化させ、商品の競争力を付加してもらう。組成側は、ある意味、無限である。それに最適化したプロセスが何であるか、決定する能力は装置側にはない。決められるのは、常にユーザー側、組成側である。技術流出の最大の要因が、装置側に組成側のノーハウがパッケージされて、輸出されたことである。だから、自動化された装置に組成側のノーハウがついていれば、資本があれば、どこでも、同じものが作れる。まさしく、半導体と液晶がその例である。電池もそれになりかけている。それを阻止するには、組成側(メーカー側)で、最終プロセスを決めて、内製化するしかない。木をみても、森が分からなければ、システムはコピーできない。
日本が生き延びるヒント
プロダクト(組成側)とプロセス(装置側)との組み合わせは、無限である。いままでは、プロセス側が固定されている状態で、プロダクトを可変させてきた。その中で、最適値をみつけ、できるだけ、低コストでできる道を模索してきた。確かに20年ぐらい前まではよかった。しかし、情報は拡散し、一変数だけでは、解はすぐにあてられてしまう。湿式であえば、三本ロール、混錬機、ビーズミル、高圧粉砕機の世界である。乳化であれば、装置よりも界面活性剤が主だから、ホモミキサー程度で事が足りる。
日本が衰退するのは、当たり前である。技術流出の出発点は、技術が飽和したからである。流出しても、次から次へと新しいものが生まれてきたら、それで日本は潤ったはずである。しかし、そうはならなかった。夢の素材と言われたCNT、ほとんどが、撤退である。解繊する技術がなかったから、CNTも粉砕するしかない。CNTを粉砕したら、まったく無意味なものになる。それでも、従来の素材よりは性能がいい。だから、中国や韓国で、安く作ったCNTを粉砕して多量に製品にいれる。EV車の導電助剤はほとんどがCNTに置き換えられている。最近では、ヨーロッパに工場をつくり、パッケージとして電池も作っている。これでは、日本が勝てるわけがない。CNFも同じである。低コストでつくれば、膨大な市場である。しかし、これも出てこない。なぜか、プロセスとの最適化ができないからである。物ができても、生産コストが合わなければ、市場は動かない。CNFを100Mpa,150MPa,200MPaかけても、費用対効果など、1mmも出てこない。150Mpa以上かければ、装置が壊れるからである。CNFが市場に出ていくには、その解繊する力が、30Mpaから75MPaぐらいの領域ぐらいでないと、費用対効果がでない。それでできるようにするには、CNFを解繊しやすいようにプロセスとプロダクトをかえたらいいだけである。なぜ、それをしないのか、可変できるようなプロセスがいままでないからである。プロダクト側で、プロセスを可変でき、最適化できうる分散のロジックがないからである。経営者もわからない。従来の因習にとらわれているだけだから、その技術がわからない。衰退して初めて慌て始めるのである。
さらに、哀しいのが、グラフェンである。色んな所から、酸化グラフェンが作られている。しかし、殆ど、売れていない。売れないのは、実体がともなわないからである。酸化グラフェン、導電性など殆どでない。なぜなら、グラフェンとグラフェンとを密着させる導電バインダーがないからである。ある意味、その導電バインダーこそが、CNTなのであるが、それを粉砕していたら、グラフェンもCNTもバラバラになり、導電パスがつながらない。導電性など、まるっきり出ないという事である。グラフェンにはネットワーク機能などない。ネットワーク機能があるのが、解繊されたCNTだけなのである。100本の短いばらばらになった電線があったとする。両端はむき出しである。電線一本がグラフェンとみていい。導電性はいい。しかし、100本を、手を使って接続しても、どこか接点はよわくなる。100本の短い電線を確実に圧着すればいい。グラフェンもそれぞれをつなぐ圧着できるものあればいい。しかし、現実にはない。頭の中の映像と現実との乖離である。だから、売れない。費用対効果がでないからである。
導電性は、CNTの直径に依存する。径の細いCNTが解繊されれば、ネットワークが構築される。ある意味、ねじれがあるから、スプリングのひもが蜘蛛の巣のように全体を覆うことになる。スプリングが励磁する。だから、電磁波吸収になる。導電性も、放熱も、強度もすごいことになる。まさしく夢の素材なのであるが、残念ながら、鉄触媒が配合されているCNT、鉄触媒からCNTが生まれるから、内部の鉄を繭のように包んでしまう。これを解繊することは、むずかしい。美粒DMRモジュールを使えば、綺麗に解繊できるが、どうも、ロット差がある。それを見越して、鉄触媒のCNTを綺麗に解繊して量産化するには、よほどのスキールが必要になる。
技術は飽和しているといっていい。もはや、従来の手法には解はないとみていい。もし、解があるのなら、もうすでに解はでている。なぜ、セラミックコンデンサーは、日本が強いのか、固い素材だから、粉砕を強くすればいいが、粉砕したら、微粉がでてくる。材料の特性は素材の均一性に依存する。日本が生き残っているのは、実は、その粉砕具合が、マネできないのである。どのように、力をコントロールして、どのようなプロセスにしているか、固いから、シールがもる。どのように止めるか、そして、費用対効果を持たせるには、プロセスの自動化が重要である。そして、かならず、品質を一定させるには、分級工程が入る。なかなか、マネはできない。それぞれの木を見れる人はいるが、どのような森なのか、それが分かる人もほとんどいない。セラコン製造メーカーも、それが分からせないように、配置転換をする。製造プロセスが確定したらなら、各ブロックを同じように流せばいいだけである。しかし、その技法が生かせるのは、その固い物質だけである。それに代わる新しい基材がでてくれば、それらの会社も終わりになる。奢れる平家久しからず、という理がどこでも通用する。
どんなものにも、誤差はある。偏差、変位である。撹拌機でスケールアップできないのは、クリアランスが量産機では取れないからである。大きくなれば、必ず、誤差がでてくる。そうなれば、クリアランスも大きくなる。微細化にクリアランスが重要なファクターなら、スケールアップはできない。だから、組成側でいろいろと可変する。それが当たり前である。
余談だが、今まで、この世界で生きてきて、いろんな組成をみてきた。いろんなものの製品化を助けてきた。高圧乳化分散機にとって、ノズル径が変われば、同じ圧力でも、ものが違うと理解する会社があった。その組成にとっては、過去の実験で違いが見えたのだろう。その会社は、試験機は買わずに、パイロット機を買った。ノズル径、0.25mm、圧力168Mpaで、1.4リッター/分ぐらいである。それで、徹底的に実験を繰り返し、処方を検討した。可変できるところがあったから、2変数をみたのだろう。それで、2本シリンダーで一つのノズル、それが一つのユニット。量産は、そのユニットのN数、増やしていった。再現がでるのは当然である。そのあとに、試験機を買ったが、たぶん、使わなかったはずである。後で廃棄されたと別な人から聞いた。これを実行した会社は、後にも先にもその会社一社だけである。普通は、試験機から入る。しかし、それでは、ノズル径の影響がわからない。おなじ圧力でも径の違いが、その組成に影響あるのかないのか、やらないと見えないからである。当然に、その会社はとんでもない会社になった。機密がもれるから、すぐに私は出入り禁止となった。これと同じ手法を取る会社が、世界を制する会社となるはずである。2変数をどこでみるのか、それは、ポンプシリンダーがひとりの作業員でもてて交換できるユニットが、最低ユニットとなる。まちがっても、高圧シリンダーを自社で分解交換できないようなものなど、採用してはいけない。高圧シリンダー一本、30分ぐらいで、はずせて、シール交換ができるものでないと、使えない。
2021年9月11日
ナノカーボン乳化(SWCNT/CNF/ Graphene oxide, Beryu Ex 73 )、その恐るべきガスバリア性、強靭性。このようなシートは、MWCNT配合のナノカーボン乳化では生まれなかった。SWCNTとCNFの分散系でも生まれなかった。唯一、SWCNT配合のナノカーボン乳化だけ、生まれた。SWCNTなら、種類は問わない。珪藻土の上にぬったナノカーボン乳化をドライヤーで乾燥させて、このようなシートが生まれる様子をビデオで撮影した。これは圧巻であった。YOUTUBEにアップする予定である。
2021年9月9日
CNTを扱う人がぶち当たる最終的な壁。それが乗り越えられないから、日本発のCNTが発展しない。誰もその壁を乗り越えられないから、みんな脱落する。日本からCNT製造が消える。
これが、CNTを扱う人がぶち当たる最終的な壁である。より、導電性をもとめれば、行きつくところが、このSWCNTであろう。世界的にみても、これがポピュラーなSWCNTのグレイドだとおもう。
この実験(Ex74)、最終的に、ノズル0.22+美粒スペシャルモジュールで、100Mpa3回通したものである。処方はスライドに記載の表とおなじである。なぜ、0.22mmなのかは、これ以下のノズルを通せば、100%一瞬で詰まるからである。しかし、これは、私がもつロットの場合であって、違うロットであれば、このノズルサイズでも通らないかもしれない。確率的にみて、これが最小であろうと推察する。研究者や開発者は、このようなものでは実用化できるとは、思っていない。なぜなら、量産化や再現性がないからである。しかし、導電性は一番いい。だから、この大きなもの(不純物)をなんとか除去して、SWCNTとしての導電助剤、その他の基材の可能性としてチェックする。美粒の評価系でみれば、この導電性は0.22△Ω/△cmである。この値がでるものは、SWCNT以外にはない。
実験(EX 56)を見てもらいたい。同じ処方である。最終解繊エネルギーは、100Mpa 3パスと同じである。前処理を含めると、Ex74の方が、一工程多い。エネルギーとしては、Ex.74の方が多くかかっている。
その差は、DMRを使用して、鉄触媒および鉄触媒に絡みつく粗材CNTを除去したかである。DMRは磁力線の場である。そこに、磁性をもつ不純物はからめとられている。EX74の写真の大きな塊、それが、不純物である。ダイヤモンドノズル、100Mpaの力でも、完全にプラグする。だから、解繊ができない。解繊できる限界が、Ex74である。この抵抗率は、出そうとすれば、グラフェン層を圧縮させて、無理やり導電パスをつくるしかない。Ex74のものを微細化する方法は、粉砕するしかない。ダイヤモンドノズルが詰まるくらいに固いものだから、粉砕機でやれば、粉々になる。しかし、それと同時に、EX74の写真でもみえるような解繊された綺麗なチューブは、バラバラになる。そうなれば、黒鉛や酸化グラフェンが微細化されたものと同じになるだろう。
導電性を支配するのは、CNTである。そのなかでも、直径に依存する。当然に、直径が短いCNTは、SWCNTになるだろう。だから、実質的に導電性を支配するのは、解繊されたより直径の短いCNTということになる。
グラフェンが導電性を有するには、それなりの密着性が必要である。グラフェンは導電バインダーにはなりえない。導電バインダーとしてなりたつのは、金属以外として、なりたつのは、カーボン材として成り立つのは、CNTだけである。
This is the final obstacle that CNT users will face. If you are looking for more conductivity, you will probably end up with SWCNT. I think that this is the most popular grade of SWCNT in the world.
In this experiment (Ex74), the final result was done through a nozzle of 0.22 + a special module of Beryu, which was passed through three times at 100 Mpa.(15000 psi) The formula is the same as in the table on the slide.
The reason why the nozzle is 0.22mm is because if you use a nozzle smaller than this, it will plug 100% in an instant.
In terms of probability, I would guess that this nozzle is the minimum size to pass through SWCNT without Iron catalyst. Researchers and developers do not believe that this kind of product can be put to practical use.
The reason is that there is no mass production or reproducibility. However, the conductivity is the best. So, we will remove these bigger impurities and check it as a potential conductive aid and other base material as SWCNT. In the evaluation system of Beryu, this conductivity is 0.22△Ω/△cm. There is no other material other than SWCNTs that can achieve this value.
See the experiment (EX 56). It is the same formulation. The final fiber dissolution energy is the same as 100 Mpa (15000 psi) 3 passes. If you include the pretreatment, Ex 74 is one step more. In terms of energy, Ex.74 takes more.
The difference between Ex74 and Ex 56 is the use of DMR or not to remove the iron catalyst and the coarse CNTs entangled in the iron catalyst. The large lump in the photo of EX74 is the impurity. The diamond nozzle plugs completely even at a force of 100Mpa. That is why it is impossible to dissociate them. Ex74 is the limit of what can be disintegrated. The only way to get this resistivity is to compress the graphene layer and force it to create a conductive path. The only way to make it finer is to crush it.
The CNT materials shown in EX 74 is so hard that it plugs diamond nozzles, so if we use a crushing equipment, it will break into pieces. At the same time, however, the clean, unraveled tubes, as seen in the photo of EX74, will be broken into pieces.
It is the CNTs that dominate the conductivity. Among them, it depends on the diameter. Naturally, CNTs with short diameters will become SWCNTs.
For graphene to be conductive, it needs to have a good adhesion. Graphene cannot be a conductive binder. Only CNTs can be a conductive binder, except for metals.
2021年9月6日
ナノカーボンエマルジョン、CNF、SWCNT、酸化グラフェン、夢の材料の組み合わせ。
特記すべきことは、シートの強靭性とガスバリア性である。導電性はいい。熱伝導性も優れている。表面にグラフェン面がある。CNFはバインダーである。
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2021年9月5日
Nano carbon matrix is completed. ( Nano carbon matrix 完成 )
ナノカーボンにおける導電性における順位
(1) 鉄触媒を除去したSWCNT
(2) 鉄触媒が残る未解繊のSWCNT
(3) コバルト触媒MWCNT
(4) 鉄触媒を除去したMWCNT
(5) 剥離した黒鉛(グラフェン化)の分散
(6) 酸化グラフェンの分散
(7) カーボンブラック類の分散
Nano carbon matrix を参照してください。
導電パスをつなぐには、
(1) 解繊されたチューブ (二次元的には線、三次元的にはチューブ)
直径の短い、欠損、欠格が少ないもの。
(2) 薄くて、大きな面
欠損、欠格が少ないもの。
(3) カーボンの点の集合体
(1) >(2)>(3)となる。
美粒が調べる限り、導電性を支配するのは、CNTである。そのなかで、CNTの直径が導電性を支配する。直径が短い方が、圧倒的に導電性はつよい。その前提は、CNTの金属触媒が除去されて、きれいに解繊されているという事である。
現状、BERYU NEW SYSTEは、どこにも、提供していない。したがって、BERYU ModuleDMRの結果は、誰にもわからない。コバルト触媒のMWCNT,鉄触媒が極端にすくないSWCNT以外、既存の装置では、CNTの解繊は難しい。したがって、鉄触媒のMWCNTであれば、Nanocarbon Matrix の7番の導電性が一つの指標になるはずである。また、直径が短いSWCNTであれば、2番の導電性が、ひとつの目安になるはずである。美粒の評価系での抵抗率でみれば、2.5△Ω/△cmが、ひとつの限界点である。また、鉄触媒に付随する粗大で固いCNTを分離しないかぎり、CNTは、解繊しない。従来の装置であれば、粉砕するから、チューブが切れて、導電性は、ますます低下する。導電性を高めるには、できるだけ、直径の短いCNTを解繊して、絡ませることである。グラフェン面をいくら、剥離しても、面と面を、圧着させないかぎり、導電性はでない。
CNTは凝集する。だから、分散剤フリーというものも、ありえない。もちろん、量が多ければ、分散剤がCNTの連結を邪魔するから、導電性は落ちる。したがって、分散剤に関しては、適切な量がある。美粒がCNT解繊で使用している、第一工業製薬製のセロゲンBSH-6に関すれば、CNT1%に対して、0.2%ぐらいが最適だということである。CNFも同様なことが言える。
Ranking of nanocarbons in terms of electrical conductivity
(1) SWCNT with iron catalyst removed
(2) Unconfined SWCNT with iron catalyst remaining
(3) Cobalt-catalyzed MWCNT
(4) MWCNT with iron catalyst removed
(5) Dispersion of exfoliated graphite (graphenized)
(6) Dispersion of graphene oxide
(7) Dispersion of carbon blacks
See Nano carbon matrix.
To connect the conductive path
(1) Defibrillated tubes (wires in two dimensions, tubes in three dimensions)
(2) Short diameter with few defects or gaps.
(2) Thin, large surface
(2) Thin, large surface with few defects and gaps.
(3) Aggregate of carbon points
(1) > (2) > (3).
As far as BERYU is concerned, CNTs dominate the conductivity. Among them, the diameter of the CNTs is the most important factor in conductivity. The shorter the diameter, the more conductive it is by far. The prerequisite for this is that the metal catalyst of the CNTs is removed and the CNTs are dissolved cleanly.
Currently, BERYU NEW SYSTE does not provide this product anywhere. Therefore, no one knows the result of BERYU ModuleDMR. Except for cobalt-catalyzed MWCNTs and SWCNTs with extremely small amount of iron catalyst, it is difficult to dissolve CNTs with the existing equipment. Therefore, for iron-catalyzed MWCNTs, the conductivity of Nanocarbon Matrix number 7 should be one of the indicators. For SWCNTs with a short diameter, the conductivity of number 2 should be a good indicator. In terms of resistivity in the evaluation system of BERYU, 2.5△Ω/△cm is one of the limit points. In addition, the CNTs will not dissolve unless the coarse and hard CNTs associated with the iron catalyst are separated. Conventional devices crush the CNTs, which causes the tubes to break and the conductivity to decrease. In order to increase conductivity, CNTs with short diameters should be dissociated and intertwined as much as possible. No matter how much you separate the graphene surfaces, conductivity will not be achieved unless you press the surfaces together.
CNTs aggregate. Therefore, there is no such thing as a dispersant-free product. Of course, if the amount of dispersant is too large, the dispersant will interfere with the connection of CNTs, and conductivity will decrease. Therefore, there is an appropriate amount of dispersant. The same can be said for CNF.
2021年8月17日
酸化グラフェンの剥離、ゆらゆらと揺れるグラフェンが、水の中で、ひらひらと舞っているのが見えます。また、グラフェンの剥離実験の前におこなったCNTの解繊実験での残りが、まざって、ときどき、CNTがひものようにゆらゆらと、揺れているのが見えます。下記のYOUTUBEから、ご覧になってください。グラフェンがゆらゆらと回転している動画など、滅多にありません。
層状に重なったものの面を、はがすことを、剥離といいます。黒鉛の表面にセロテープをはって、それをはがすと、セロテープ面にグラフェンが付きます。面をこわすことなく、その面をはがしていくのは、至難の技です。世界ではグラフェン、グラフェンといっていますが、費用対効果のある量産技術は、実は、どこもできてはいません。このビデオは酸化グラフェンですが、酸化グラフェンを剥離しても、そこに、CNTのような導電バインダーがなければ、導電性は期待しているほどでません。グラフェン面を圧縮して、導電性をだすのなら、黒鉛と変わりがありません。グラフェン、グラフェンというのは、透明性を期待するからです。透明導電膜です。剥離した透明性のあるグラフェンに解繊されたCNTがつながれば、軽量の導電膜ができます。熱伝導性もいいので、放熱板にもいいはずです。また、グラフェン面が外にでれば、非常にすべりがよくなりますので、少量で軽量で耐久性のあるシール材になります。いずれにしても、剥離されたグラフェンと解繊されたCNTとの面と線とで、ネットワークを作ることが将来的には重要になります。キャパシタ、蓄電には、必須の技術となります。乱れからでは、グラフェンは、剥離できず割れます、また、CNTは解繊できず、折れてしまいます。地球温暖化で、ますます、大気が不安定化し、豪雨が頻繁に起きます。それもエネルギーです。その荒れ狂うエネルギーを電気エネルギーに変換して、蓄積して、必要に応じて使用すれば、エネルギー節約になります。カーボンニュートラルとは、乱れるエネルギーを電気エネルギーとして、捕まえて、それを自在に活用することです。核分裂を爆薬を使い一気に破裂させれば、それが原爆です。それを制御して、タービンとして回せば、原発です。
芸術作品をつくるのも、エネルギーが必要です。芸術は爆発だといっても、実際には、制御して、美しさをどこかで表現しています。エネルギーを乱れではなく、ゆらぎとして、使えば、そこに美がうまれます。それが芸術です。絵画も、音楽も、詩も、小説も、彫刻も、同じです。カーボンもセルロースもまた同じです。CNTもCNFも同じ解繊です。ぶち壊していたら、装置も壊れて、何も生まれません。分散は、芸術なのです。芸術、そのものなのです。それを理解していなければ、いいものは生まれません。逆に、それを理解していれば、中国だろうが、アメリカだろうが、日本だろうが、韓国だろうが、世界のどこでも、いいものは生まれます。エネルギーをつかって、何かを生み出す。それはすべて芸術なのです。それがわかれば、知性一辺倒から、感性へと、主軸が移ります。いくら頭のいい人でも、人の心が分からない不誠実な人なら、いいものは作れませんし、人の上にたって、何かをなすこともできません。
YOUTUBE、ひらひらと舞うグラフェンとひものようにゆらゆらとゆれるCNTが見えます。参考にしてください。
2021年8月16日
2021年8月15日
なぜうまくいかないのか。
市場性とは、もちろん、現在の市場性とは限らない。未来においての市場性を追い求めることも正しい。しかし、そこに生産性がなければ、ともに意味がない。スケールアップできないものを追い求めても、どこかで頓挫する。
すべてにおいて、一つの体系には、かならず限界がある。つまり、生産性を追い求め、費用対効果を最大限になるように努力しても、そこには、どこかで、かならず飽和がくる。飽和に達すれば、もう、進歩はない。そこにあるのは、低コスト化である。品質が同じであれば、コストが安い方がいい。それでも、昔は、安かろう、悪かろうというのがあった。しかし、飽和の社会では、時間とともに、その品質の信頼度もあがってくる。100円ショップがいい例である。そうなれば、安くて、いいものが当たり前となる。一つの体系の終わりがくる。
研究開発という命題がある。新しい体系を作ろうと試みる。しかし、そこの最大の欠点は、どうやって、利益を生むのかという発想がない。量産化、生産技術ということもない。とにかく、新しい発見、より素晴らしい事実、驚くべく機能を見つければいい。それを論文にかき、特許性があれば、申請すればいい。それが、研究開発の一次的な仕事である。どうやって、つくるのか、どうやって、安定的に作り出すのか、それをどうやって、利益に結び付けるのか、そもそも、それが量産化した時に、費用対効果を生むのか、利益がでるのか、もっと、いえば、そもそも、それは、まともに、安定的に、作り出せるものなのか、である。
やってみなければ、わからない。だから、すこしやってみて、当初の計画との乖離がでてくるのは当たり前。やってみて、いろんな問題がでてくる。それで、研究開発は終わりである。論文の最終章には、課題として、実用化に対しての問題点を列挙する。素晴らしい値がでている。驚くべき機能が発揮された。これによって、より良い未来がくるだろうと、述べる。どの分野でも、そういったものは、無数にある。全部、実用化、現実化されたら、この世は、バラ色である。20年、30年の長いスパンを考えれば、文明は確かに進化している。しかし、それと同時に、負の遺産も増えている。地球温暖化である。30年前と、劇的に変わったのは、通信速度とパソコンの演算処理とバッテリーの長さと、タッチパネル機能向上、カメラレンズの機能向上である。それを具現化しているのが、高機能5Gスマホである。
しかし、それも、バッテリーと同じように、どこかに限界点がある。高機能5Gスマホは、いろんな技術の複合材だから、その組み合わせを変えることで、機能アップしてきた。基本は、電話機である。ダブレットの大きさは越えられない。タブレットもPCの大きさを越えられない。バッテリーも、ある程度、飽和に近づいている。製造技術や製品技術が飽和にちかづけば、後は、低コスト化となる。低コスト化になれば、日本に勝ち目はなくなる。なぜ、うまくいかないのか、それは、うまくいかないものだからである。どんなものにも、必ず、絶壁が存在する。生産技術という壁、費用対効果という壁、利益を出すという壁である。そこには予測不能な問題点が内在する。新しいものには、1+1=2とは限らない複雑な要素が必ずあるからである。もし、なければ、すでにそれは存在している。だから、やってみないとわからないのである。当然に、その壁を越えなければ、新しいものは生まれないし、新しい社会もうまれない。
いつの世でも、壁を超す作業のヒントは、ひとりの天才、ひとりの職人、ひとりの奇人が、与えるものである。ひらめきや直観が作用する。論理の壁を越えるのは、いつの世でも、感性や直観が作用するものである。しかし、それだけでは、何もうまれない。後は、組織がそれをどのようにおぎない、費用対効果のある生産技術をどうしたら生み出し、利益を上げることにつなげるのかという命題になる。言葉では簡単だが、それはなかなか大変な作業である。ひとりの天才、ひとりの職人、ひとりの奇人の声を聞き取れる企業側の管理者の器量が問われるからである。企業側、経営側に、ひとりの天才、ひとりの職人、ひとりの奇人以上の能力をもった人が必要になるのは当然である。企業側、経営側は、普通は保守的である。新しいことをやって、失敗したら、定年までの保身が保たれない。だから、新しいことはやらない。やらなければ、飽和した社会では、いずれ朽ちて斜陽するだけである。
もし、未来が新しいものを必要とすれば、神様がそれをつくれるようにする。ひとりの天才、ひとりの職人、ひとりの奇人を、必ず生み出す。そして、どこかの企業がそれをバックアップしていく。なにか、普通ではないようなことが必ず起きる。それによって、何かが生まれる。30年後の未来を予測することはできないが、30年後の未来が存在するならば、それを生み出す何かが必ずおきることになる。その壁を越えるような何かが生まれる。
50年後というスパンを考えれば、そこの未来には、二つの状況が考えられる。地球温暖化が進み、また、訳の分からないウイルスによって、差別化がうまれ、より、悲惨な世界になっているか、それとも、温暖化で生じるエネルギーを電気エネルギーとして蓄積し、よりカーボンニュートラルの世界が実現して、訳の分からないウイルスを弱毒化できる技術や、新しい治療薬も開発され、いまよりも、人として住みやすい世の中が実現されているか、である。
なぜ、うまくいかないのか、そこに、人のエゴが介入するからである。人間社会のバイアスが働くからである。逆にうまくいくのは、たぶん、見えざる神様の因果が機能するからだと思う。50年後の未来があるとすれば、そういう世界を多くの人が望んだ結果、そういう世界が実現しているのだと思う。
2021年8月13日
これが、いままで、美粒が作った中で、一番低抵抗率なものです。不純物の多いSWCNTの方が、純化プロセスによって傷ついた高純度のSWCNTよりも、綺麗なものである(欠損がすくない)。鉄触媒が多ければ、それだけ、解繊はしにくい。粉砕すれば、CNTのチューブが折れる。グラフェンの面も粉砕すれば、面が割れる。DMRは有効な手段だが、生産技術的には複雑になる。生産技術が優れた企業にとって、DMRは最良な武器になる。
費用対効果をみれば、下記の作品は、かつて、美粒が作った中で、もっとも、低抵抗率のものである。
2021年8月10日
2021年8月8日
ゆらゆらとゆらぐ。乱れを制御すればそこに揺らぎが生じる。
絵をかく。音楽を奏でる。詩を読む。美しい風景をみる。美しい人の微笑みを見る。そこに共通するものが、美である。美の本質は、揺らぎである。乱れれば壊れる。どんなに美しい人でも、心が醜く、愛欲に走れば、般若となり、修羅となる。美しい人でも、己の我欲に縛られれば、母恋しさに泣く我が子を殺すこともある。一瞬の心の乱れ、最大の乱れである。
爆薬をうまくつつみ、それを制御して、夜空に放てば、美しい花火となる。しかし、上空で爆薬をつかって、核分裂を引き起こせば、ピカドンとなる。原爆である。熱放射線と爆風とで、一瞬に破壊される。爆心に近い人なら、上空を見上げた瞬間、ピカっと、光を見た瞬間、一瞬で溶けてなくなり、炭化した骨も爆風とともに、消え去る。人類が過去最大のエネルギーを放出させたもの。人類が作り出した乱れの極致。その犠牲になったのが、広島と長崎、それ以来、原子爆弾は人に対して、使用されていない。
エネルギーをあげれば、必ず乱れる。自然界もそうだし、人の心も同じである。乱れれば、壊れる。物であれば、粉砕される。人の心では、理性を失い、欲望が先行する。人が人をころす、超法規的な乱れの極致、戦場である。上官が理性のある人ならいい、しかし、戦場が悪化すれば、規律が崩壊したはずである。気にいらない人がいれば、命令で、戦場へおくりだす。拒否すれば、そこで、銃殺もあったはず。総崩れの時は、乱れの極致である。規律も崩壊し、人の欲望が勝つ。気に入らない上官がいれば、叩きのめしたはずである。秩序が崩壊し、エネルギーが上がれば、自己崩壊となる。秩序、組織、木っ端微塵となる。
すりこ木で、ものをすりつぶす。人の力である以上、限界がある。ものごとは、大体、3次ぐらいまで凝集しているものである。人の力でできなければ、今では、ジューサーミキサーがある。スイッチをおせば、下のミル刃が、高速回転でまわる。3次凝集体が、二次凝集体まで解砕される。果物をいれて、水分をいれて、まわせば、おいしいジュースができる。果物の繊維はのこり、水分と混ざる。それが二次凝集体と水分との混合体である。ジューサーでできる世界は、そこまでである。十分である。それを、更に、エネルギーをあげていけば、どうなるか、ジュースという美味しいものが、壊れていく。ばらばらになっていく。もし、エネルギーをあげて、何らかの制御をして、揺らぎをつくりだしたら、どうなるか、まったく新しい機能をもった、別なものが生まれるはずである。
国も民族も同じである。なぜ、アメリカがあれだけ自由を尊重しても、乱れ壊れないかである。トランプ大統領から、バイデン大統領に、政権移譲がきちんとできている。それは、背景に、キリスト教が教えるチャリティ精神、愛があるからでる。キリスト教の倫理観が自由をささえているのである。日曜日になれば、礼拝に向かう。困っている人がいれば、チャリティで助け合う。それが、アメリカ社会の乱れを抑止しているのである。細部は人種差別や偏見でバイアスはあるが、本質は、キリスト教の倫理観が乱れを抑止しているのである。では、中国は、どうかといえば、アメリカとは対極である。中国人は、基本的に個人主義で血縁主義である。友達の友達は古朋友なのである。古朋友の面子をつぶすのは、最悪のことである。だから、大きな力で個々の乱れを押さえなければ、暴動になる。いまでも、三国志と唐詩選の世界なのである。頭のいい、金持ちは、すでに、資産をアメリカやオーストラリアにうつしている。実に頭のいい人たちである。文化大革命、天安門事件、中国は変遷した。今の中国を作った最大の功労者は、鄧小平氏である。この人ほど、賢い人はいない。政治と経済を完全に分けたのである。共産主義でありながら、資本主義国家となったのである。日本の13倍の人口を抱えている。人海戦術をつかえば、最大の製造下請け国家となり、また、最大の需要消費国家ともなる。製造下請けであるから、技術と設備はどんどん入ってくる。何かあれば、権力で抑える。コロナを見ればわかる。中国のやり方がいいか、悪いかはわからない。しかし、現実に、中国が発展しているのも事実である。今は、中国人が日本に観光して、そのお金で経済を回そうとしているのである。私が中国にいっていたのは、天安門事件前である。みんな一生懸命、技術を習得しようとしていた。日本にくる代表団、日本の発展に驚いていた。当時の中国の人はみんないい人だった。
カーボンニュートラル、そのキーを握っているのはやはり、日本なのである。ゆらぎなど、アメリカでは考えられない。そのような制御など、アメリカでは思いつかない。グラフェンもCNTもCNFも、次世代のマテリアルと思われている。しかし、どこもパットしない。用途展開ができないからである。その根本を修正できるのが、ゆらぎなのである。日本人の文化の中に溶け込んでいる美意識なのである。日本は、自然界の力を風物詩として変えてきた。それが日本の文化である。春夏秋冬の自然の力をうまく制御して、そこに揺らぐ美意識を構築させたのである。それが、漫画やアニメにも継承されている。世界に誇れる文化なのである。少女漫画、どれだけ、美しく描かれているか、その美しい線画、色彩、世界の少年少女をいまでも魅了している。
層状体の二次凝集体を粉砕したらどうなるか、グラフェンはうまれない。ファイバー状の二次凝集体を粉砕したらどうなるか、CNTもCNFも、機能がこわれ、単なるカーボン、鉛筆の芯と同じ、CNFは、単なるセルロース、枯れた樹木の切れ端と同じになる。乱れを制御したら、そこに、揺らぎがうまれる。新しいものが生まれる。爺にできることは限られている。30年後、50年後の未来が今よりもよくなっていることを願うだけである。30年前の世界があった。30年はあっという間である。しかし、30年後の未来には、たぶん、私はいないだろう。分散にも、乱れを制御したゆらぎの技術が浸透していれば、今よりは、いい時代になっていると思う。
2021年7月28日
ある程度、情報がまとまったので、一端、ここで整理します。何か、必要な情報が、必要であれば、美粒までご連絡ください。美粒にとって一番重要な記事だけ、UPしておきます。
2021年7月20日ーその2
日本人が知らないDouble acting Dual piston Air Drive のすごさとは
アメリカでは当たり前に使われているダブルアクテング・デュアルピストン・エアードライブ、高圧ポンピングシステム。
美粒は、基本的に、量産用にはそのポンプを使用することにしている。高圧ポンピングシステムと分散技術に対しての費用対効果は世界一である。
企業の生産技術として、一番に考えなくてはならないのは、汎用性である。車でもコストをさげて、安全性を上げるには、今まで使用して、安全が確認されている部品を多く使う事である。つまり、共通化である。これは、汎用性を意味する。装置が特殊でなおかつ、装置メーカーの訳の分からない規格で作られるほど、嫌らしいものはない。つまり、いつも急所を装置メーカーに握られていることになる。最悪なのは、特殊な冶具がないと、分解組み立てができないことである。高圧ポンピングシステムにおいて、高圧シリンダーは、人がもてて、一人で分解組み立てができる大きさが上限である。そうなると、プランジャー径が25mmぐらいが妥当なところである。
なぜ、圧縮エアーを使うのが、いいのか。
その答えは、逆にいうと、どうして油圧だとまずいのかという問いになる。
① 油圧ピストンの温度は制御できない。
まず、油圧で問題になるのは、油圧シリンダーである。油圧では油圧の圧力を大体、7Mpaから15Mpaは上げることになる。油圧シリンダー内の油も仕事をするから油温が上がってくる。だいたい、オイルメーカーは、60度以下での使用を推奨する。当然にシステム内に、油圧の動力と同じくらいの冷凍機が必要になる。それで油を冷却するわけであるが、その冷やすところが、圧力制御でのリリーフバルブのリターン側の所の油を冷やしているから問題となる。重要なのは、油圧ピストンの内部の油の温度である。連続運転していると、油圧ピストン側など、触れることなどできない。最高圧で運転でもすれば、目立や焼きができる温度ぐらいの温度になる。当然に、油は劣化し、パッキンがおかしくなり、高圧プランジャーの芯ぶれが起き、高圧シリンダーのシール部もやられる。連続運転が必要になれば、複数台の装置が必要になる。運転用、トラブル回避用、メンテ用である。
② 自動運転が大変である。
油圧式で自動運転となれば、非常にシステムが厄介になる。油圧で自動運転する場合には、油量を自動で調整する必要がでてくる。比例制御弁が必要になる。それを動かすには、アナログ出力するシーケンサーが必要になる。問題になるのは、運転すると油温が上昇することである。だから、油圧の圧力センサーか製品圧力センサーが必要になる。自動運転とは、ある設定した圧力になるまで、油圧であれば、油量をその圧力になるまで、調整し維持することである。シーケンサーのプログラムであれば、設定した圧力Pまで、比例制御弁をあけて油量を上昇させることである。その設定した圧力Pと、油圧か製品圧力センサーからの送られてくる信号P1をシーケンサーの中で比べる。P=P1となるところの信号を保持し、それで補正をかける。非常に面倒なプログラムとなる。コストを下げるなら、手動のリリーフ弁が、圧力調整弁になる。油温度があがるから、常に人がついていないといけない。圧力が上がったら、リリーフ弁をあけ、油を逃がすことになる。それが、防爆なら、非常に難しい。今は、防爆の比例制御弁を入手することが困難とみていい。
エアーなら、どうだろうか、リリーフ弁を調整するだけである。エアーなら、一定である。使われるのも、基本的にエアーだけである。完全に防爆である。コンプレッサー側には圧力容器としての検査は必要であるが、ポンプ側には何も規制はない。構造は単純である。それと、完全に分解することが可能である。生産技術のプロなら、全部分解しても、部品さえあれば、この手のポンプなら、一日で分解組み立てができるはずである。
圧力比118-2Dが理想的なポンプである。
材料の特性から、大体、130Mpaぐらいから、耐久寿命が変わってくる。高圧配管も中圧と高圧との差が140Mpaからかわる。中圧と高圧仕様で外径が同じなら、内径比は5.16:3.18となる。40%近く変わることになる。だから、美粒システムも最大でも130Mpぐらいで収まるようにしている。BERYU MINIでいえば、空気圧0.5Mpaぐらいを上限とするのが理想的だと書いてある。美粒での実験はほとんどが、100Mpaで実験している。ナノカーボン乳化も基本的にすべて100Mpa運転である。
汎用のコンプレッサーも大体0.6-0.8Mpaでの運転である。つまり、0.55Mpaで、130Mpaの増圧比こそ、もっとも、効率的だということになる。つまり、デュアルピストンであれば、増圧比118ということになる。
このデュアルピストンという考え方は、日本にはない。まだ、この方式のポンプが一台も日本に納品された記録がない。
アメリカには、このような優れた高圧ポンピングシステムがあるにもかかわらず、分散技術手法がお粗末だから、CNTもCNFに関しても、乳化にしても、何一つ、まともなものはない。装置技術にしても、20年、30年、何も変わっていない。だから、日本も、何も変わらない。しかし、このポンプの考え方はすばらしい。構造は簡単なので、高圧シリンダー部は、日本でつくることも可能である。アイソレーター部があるので、シールフラッシングをつけることも構造上可能である。基本的にアメリカ製のポンプなので、アメリカでは絶対に改良などしない。インレットチャッキ、シールフラッシングは、改良した方がいい。特に、ダブルアクテングに関しては、チャッキ部が重要であるから、改良が必要である。構造が簡単なので、部品の予備さえあれば、どこの企業でも、自分たちでメンテができる。生産技術として、重要な分散室に、外部の人間、スパイになりえる人を容易に入れてはいけないのは当然である。
アメリカの分散技術がお粗末だから、日本も同様にお粗末だから、韓国、中国も同様にお粗末である。お粗末だから、台湾、香港、深圳にも、それをまねたポンプも出てこない。構造は非常に簡単である。台数がでてくれば、必ず、コピー品が出てくるはずである。コンプレッサーであるから、ミストは禁物である。だから、ドライヤーが重要である。連続運転の時、ミストがあれば、サイレンサー側での凍結がでてくるかもしれない。そうであれば、コンプレッサーのミストとの関係で装置が複数台必要かもしれない。それでも、構造をみれば、単純だから、ポンプコストも高くはならない。費用対効果からすれば、やはり、世界一であると思う。